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猫・犬・ペンギン等の短編集  作者: 第48代我輩
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少子化問題を考える(という名の遊び)

2005年に「総理府のメール公募」を記念した1000文字超短編企画が個人サイトの界隈があり、その時にだしたものです。

これを読み直すと、あれが2005年だったのか、と感慨深いものがあります。

『この問題に長年取り組んでおられる甲博士にお話を伺います』

テレビのレポーターは、早速インタビューを始めた。

『この15年、いや正確に言えば30年というもの減り続けていますが』

「15年前と言えばバブルの弾けた年、30年前と言えばオイルショック。いずれも虎の子の急減の引き金になっておる」

『なるほど、貯金が大切だと仰る訳ですね』

「そうじゃ。庶民というのは数年しか赤字生活を我慢できん」

『でも、貧乏人の子だくさんという諺もございますが』

「それは全員が貧乏な時代の話、食うか食われるかの競争社会には当てはまらぬ」

『なるほど。では、どういう対策を博士はお考えで』

「勝つ事じゃ! Aクラスの生活がすべてじゃ」

『はあ? でも、このままでは、将来の我々をサポートしてくれる者がいなくなると心配しておりますが』

「なんの心配がいる? 今や、我々はV字の回復を果たしているではないか」

『そ、そうなんですか? 最近の数値にそんなのがありました?』

「一昨年に続いて今年も優勝を決めて、これで虎の子が全国に広がるじゃろうが」



『ええっと、次に、同じくこの問題の専門家である乙教授に、、、』

レポーターは、汗をかきつつ2人目にインタビューを続けた。

『博士、近年話題の少子化ですが』

「子孫を作らせない問題と理解しておる」

『作らない、ではなく作らせない、ですか』

「そもそも安易な食生活を選ぶのが悪い。いくら便利だからと言って、やれ薬だ、遺伝子操作だと自然を弄くってよいものかな?」

『なるほど、そういう視点ですか。では、環境ホルモンのようなものが、食物を通して私たちを蝕んでいるのでしょうか』

「逆だ。堕落した人間の精神が、食べ物の少子化を進めたと言える」

『えっ?』

「種無し西瓜に始まり、種無し葡萄に種無し蜜柑。苦労して食べる風情が全くないではないか」



『えー本日は晴天なり、、、次にいきます』

レポーターは、青い顔で3人目の丙氏にマイクを向けた。

『出産率の低下ですが』

「CO2が癌だ」

『あのう、地球温暖化の話では、、』

「君、知らんのかね、増加したCO2やNO2が海に溶け込んで、海が酸化しつつある事を? これによって、2060年までには魚類の交尾機能は大きくダメージを受ける』

「あ! 魚の少子化の方が深刻ですね」

『勘違いも甚だしい。私は数の子が小さくなる事を心配しておる。数の子は子沢山の象徴だからな』


written 2005-10-1

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