番外編 7
一旦お店に戻り、私たちは裏から出させてもらい、ルークは予約していたお店へと急いだ。予約していたお店へはすぐに着いたけれど、念のため裏口から入った。
このお店は前回みたいなカジュアルなお店ではなく、わりとしっかりとしたお店で創作料理を得意としているらしかった。
「お店の中静かですね……。お客さんはいないのでしょうか?」
あまりにも静かで不安に思い、ルークに絡ませている手に力を入れると
「安心してください。今から2時間貸し切りですからね」
ちょうど店員さんがきて笑顔で声を掛けてきた。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」
貸し切りだから店内が静かだっただけで普段はもう少し賑やからしい。案内された席は個室に二人だけの席で、その隣の個室を挟むようにレイ様たちや、影で守ってくれていたライトたちの席が二部屋あった。
「貸し切りにしたので、みんなの分も頼みましたが、デートですからね。私たちは二人で食べましょうね」
デート中のみんなの食事が気になっていたので、ルークの配慮にうれしくなった。それにしても影の護衛の人数がすごい。十人はいる。
食事がきたあと、ルークは部屋に結界を張り、ルークが毒味をしつつ食べさせられた。
「うちの料理とはまた違った味でおいしいですね」
「このお花みたいなのが好きです」
カラッと揚げてあって食感はパリパリしているが、味は栗のような感じでほんのり甘い。
「これはユリクリという花で、生では食しませんが、こうやって火を通すと食べられるようになります。うちでは細かく切ったものがサラダに振りかけられて出ることが多いですね」
ナッツだと今まで思っていたものがこの花だったらしい。
ちょうど食べ終わった頃ライトが個室にきて、今であれば外も落ち着いていて人だかりもないとのことで、私たちはお店を出ることにした。
あまり自分には物欲というものがなく、あるもので十分だと思うタイプで、ウィンドウショッピングをしていても、買いたいと思えるものがなかったけれど、ルークから買ってあげたいオーラがすごかったので、甘えることにした。マリンたちにお土産を買いたくなったのだ。
ちょうど雑貨やさんがあり中に入ると、ところ狭しと商品がおいてある。向こうの世界とは違い、魔石関係の雑貨が多く、私は一つのものに目が止まった。
これは悪い行いから身代わりになって助けてくれる魔石らしい。助けたあとは石が割れてしまい使えないそうだが、ストラップになっているし、これなら腰につけても邪魔にはならなさそうだった。ルークに伝えて人数分頼むと、在庫がほとんどなくなってしまったが、店員さんはかなり喜んでいたので、結構お高いものだったのかもしれない。
「ルークありがとう」
「どういたしまして。相変わらず、自分のものには物欲はわきませんか?」
ルークが苦笑いしながらいうけれど、普段ルークがいることで心が満ちているからか、今あるもので十分だと思ってしまう。
「ルーク、今あるもので私は十分ですよ」
「そういう、慎ましいアリスも大好きですが、私としてはねだってもらいたいので少しさみしいです」
「ふふっ、では次回何かおねだりするものを考えておきますね」
「私をおねだりしてもいいのですよ」
最後はルークが耳元で囁いたので、私は耳まできっと真っ赤になっていると思う。
そうしてると、どうやらルークやレイを見ようと女の子たちが増えてきてしまったらしく、レイから人だかりができていると報告された。ちょうどお土産が包み終わったのもあり、私たちは裏口から出させてもらい馬車に戻った。
「アリス、なんだか落ち着かずすみません」
「十分楽しかったので大丈夫です。お屋敷に帰りましょう」
「姫様はほんとに良い子だなあ」
レイとユーリが話していたが、普段好きなことばかりさせてもらっているので少し恥ずかしい。




