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番外編 6

 

 今日の夕食後、紅茶を飲んでいたらルークから話しかけられた。


「そろそろデートしませんか?」


「……」


「アリス?」


「……庭園は昨日行きましたよ?」


 結婚してから1年10ヶ月、基本的にずっと一緒にはいるけれど、外へのデートは王城であった夜会くらいで、お屋敷の外に出ることじたいが数える程度だった。

 誘拐事件から敷地内の庭園にもルークがいないと出られず、最近になってやっとルークがいなくても庭園は出られるようになったけれど、それでも庭園は昨日行ったばかりだ。

 まだ見たいところがあったのかな?

 こてんと首を傾げる。


「アリス、街にでも行きませんか?」


「……え?……!!ほんとに?ほんとに?うれしい!」


 ルークはずっとニコニコしてるけれど、実は私は外へのデートは半分諦めていた。もう行かせてもらえないかなあと。


 半年ぐらい前にレイにもう少しで行けそうなことを聞いてたけれど、これのことかな?


「2日後に1日お休みを取るので、その日にいきましょうね」


「ルーク、ありがとう!」


 私はルークにそのまま抱きつくと、ルークは自身の唇に指をとんとんとする。意味がわかった私は顔を赤らめながらもチュッとキスをした。


「アリスはいまだにキスで赤くなりますね」


「だって、ルークが……」


 かっこよすぎて見てるだけで照れちゃうのに……なんて言ったらきっと今日は寝られないよね?と思ってルークを見ると、ものすごく笑顔になってるし、背中の紐ほどこうとしてるし……。


「ルーク?」


「アリス、アリスの目はとてもおしゃべりですね」


「!!」


 なぜか分からないけれど、言ってないのに!ルークにはいつも思っていることがばれてしまう。

 結局深夜遅くまで寝させてもらえなくて朝からあくびが何度も出た。


「アリスにヒールかけておきますね」


 とヒールを掛けてもらわなければ、おそらく未だにベッドの中だった。



 * * *



「アリス様、そろそろお時間ですよ」


 デート当日、私は青いワンピースに髪は三つ編みという至ってシンプルな格好でルークを待っていた。


「アリス、お待たせしました。参りましょう」


 私はルークの腕に自分の腕を絡めるとルークはふわりと微笑み、


「今日は離さないようにしましょうね」


 今日はレイとユーリがそばについて護衛にあたるらしい。といっても、見えないところには何人いるか分からない。

 申し訳ないなあと思いつつ馬車に乗るとルークの膝の上にがっちり固定され、レイやユーリは苦笑していた。

 うぅ。


 ルークは基本的に私を誰にも見せたくない人だけれども、それよりも安全が脅かされることを良しとしない。だから私が外に出ることをものすごく嫌がる。

 でも今回はなんだか違うなあという印象で、外に誘ってくれることそのものが異例だ。


「ルーク、今日はどこに行くのですか?」


「前に行った蜂蜜やさんに行きましょう」


「あの蜂蜜、おいしくてあっという間になくなりましたしね。楽しみです」


 街に着くと、ルークは腰を抱いて歩こうとするが、目立つからやめたいと言うと


「では抱きましょうか?」


 と、素で返してきた。ルークには恥ずかしいという単語はないらしい。私は腰の方を選び、ルークはそれを見て微笑んでいた。


「では行きましょう」


 ルークと歩きだし、改めて回りを見ると、やはりみんなの視線はルークやレイに集まっていた。変装していてもカッコいいのだ。

 前回、これで嫉妬されてジュースを掛けられたから、今日はされないようにしないと!


 蜂蜜やさんでは相変わらず豊富に種類が取り揃えてあり、トロトロの蜂蜜はどうしてこうもおいしそうなのか。自然とニコニコしながら選んでいると、ルークも選んでいたようで店員さんに瓶詰めしてもらっていた。


「私、今回はこのイチゴの蜂蜜にします。すごく良い香りがします」


 蜂蜜を瓶詰めにしてもらい、店を出ようとすると人だかりができていた。


「厄介なことになりましたね」


 まるでアイドルの追っかけみたいな感じで、ルークたちみたいにモテすぎるのも大変なんだなあと改めて思った。



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