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番外編 5 マリン視点

 

 私はアリス様の専属侍女のマリン。

 アリス様がこの世界に来てからずっと侍女としてついているが、このお方はおもしろい!


 まず、自分が高貴なお方だということを度々忘れる。王弟妃殿下ともなると国でほとんどの人が頭を下げるほどの人なのに、いつだったか、なぜか土仕事をしたいと言い出した。それも真剣に。

 理由をお聞きすると


「ルークがね、なすが苦手なのよ。私が育てたなすだったら、食べてくれるかもしれないでしょ?」


「えーっと、おそらくですが、アリス様があーんって食べさせてさしあげたら、きっとお食べになるかと思うのですが……」


「それは私が恥ずかしいから……」


「えーーー……」


 あんなにイチャイチャしてるのに、恥ずかしいからって!!マリンちゃん驚きですよ!


 結局、夢のなす畑はルーク様の阻止にあい、実現できないままになっている。

 でも、先日『なすのにびたし』と『なすのはさみあげ』というものをアリス様がお作りになったときは、たくさんのなすをお食べになられていた。

 ローズ家の料理人であるハリーがレシピを聞き、賄いでたまに出してくれるが、これは確かにおいしい。異世界の料理は美味しいものが多いのだろうか。


 次に私たち使用人に気軽にヒールを掛けてくださるところ。回復魔法は使い手が少ない分、とても貴重だ。

 にも関わらず、「練習だから……」と毎日掛けてくださる。

 アリス様のヒールは肌の調子まで上がるので、他の家のものや貴族が知ったら、きっと殺到する。それもあって、うちの屋敷と王家以外には他言無用となっている。

 アリス様も自身に掛けられるようになってエステいらずとなったけれど(それでもエステは全身させていただく)、お出かけがないので少しもったいない。


 あと、アリス様はとにかく物欲がない。自分のものでほしいといったのを全く聞かない。

 先日ある特定の紅茶がほしいと頼まれたので取り寄せたら、カイン様への誕生日プレゼントとしてだったし、その前は私のために髪飾りを贈ってくださった。

 ご自身のものを全く買われないので、ルーク様のアリス様への贈りたい病も頻度が多くなるのかなと予想している。


「マリン、アリス様がお呼びですよ」


 同僚のアニーが呼びに来てくれた。


「アニー、ありがとう」


 私は急いでアリス様の部屋に向かった。あまり呼ばれることがないから珍しいなと思いつつ。


 ノックしてから入り


「いかがなされました?」


 と、顔をあげて驚いた。

 アリス様の部屋付きの侍女が全員いて、お茶会の用意がしてあった。


「え……?アリス様……?」


「今日はね、いつもお世話になっているマリンへのお礼なの。みんなでお茶会をしましょうね」


 アリス様ってば!高貴な方はご自分で使用人にお茶を入れたりしませんってば!

 うれしすぎで涙が出てくるのを、アリス様がそっとハンカチで拭いてくださった。


「マリン、こっちに座ってくださいね」


 手を引かれてアリス様の席の隣に案内されると、カイン様が椅子を引いてくださった。


「さて、主役も揃ったし、お茶会はじめましょう!」


 しばらくするとルーク様も参加されたり、ハリーが追加のお菓子を持ってきたりととても賑やかなお茶会となった。


 世間では氷の王子と呼ばれているルーク様のお屋敷は、きっとこの国で一番暖かい。

 アリス様、一生お仕えいたしますね。





ブックマークや評価★をありがとうございます。

とてもうれしく思ってます。

番外編ちまちま更新しますのでまたよろしくお願いします。




『この婚約なかったことにしてくれませんか? ~なぜか王子に溺愛されてます~』を更新してます。

そちらの方もぜひ見てください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アリス様、素敵です。 マリンさんも、素敵な主人に使えることが 出来て良かったですね。 いい話。(*^^*)
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