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部屋に戻ると侍女たちには下がってもらい、カインたちとルークは今後の打ち合わせをしていた。
私はといえば……ルークが待っていてくださいと言うので、ドレスを着たままソファーで待っていた。
テーブルに果物が切ってあったので、摘まみつつ待っていたが、どうにも眠たい。慣れない1日を過ごしてだいぶ疲れていたようで、いつの間にか寝てしまっていた。
* * *
なんだか暖かくていい気もち……。
ん?
パチッと目を開けると湯船に浸かっていた。
『お風呂で寝たら危ない!』
小さい頃から親に叩き込まれたものの一つだ。
あわてて出ようとしたら胸の下をホールドされていた。
「ルーク……」
「アリス、疲れていたみたいだったので、勝手にいれましたよ」
「はぁ。びっくりしました」
ついでに大きなため息まで出る。が、自分の姿に恥ずかしくなり顔が真っ赤になる。
「驚かせてすみません」
あまり反省してない顔で謝るルーク。
「ルークに驚かされたので……今度は私の番です」
「ん?」
「実は女神様の話はまだあるのですが、二人の秘密にできますか?」
「……?
もちろんできます……が……?」
「実は私はかつて女神様の娘だったのです」
「え?」
「ある人間の男性と恋に落ち、母である女神様に試されました。『2人で生きていけるならば認めよう』 と。
そのとき、母はさすがに人間の身では危ないと加護を下さり、私たちはこの地で子どもを産み育てました」
「え……まさか……」
ルークは私をさらにぎゅっと抱き締めた。
「アルト王国の起源となった夫婦は私たちです」
「……」
「母は私たちを認めて下さり、例え死んでしまっても、また同じ時が過ごせるようにと配慮くださいました。
でも前回、私が殺されたことでルークがひどく落ち込んだと思った私はこれ以上悲しませてはいけないと、遠くの地で転生することを強く願いました。
ですが、ルークの思いに母は答え、私にこの地で過ごせるよう加護を与えたんだそうです」
ルークも知らなかったことだったのだろう。しばらく私を抱き締めたまま動かなかった。
「では……今後例え死んだとしてもアリスをまた愛することができる、と……。
あぁ……女神様ありがとうございます」
ルークは静かに一筋の涙を流した。そして祈るように目を閉じた。
「アリスをなくすことにひどく恐怖があったのです。前回がありましたから。でも……少し和らぎました」
「ルーク、私を見つけて、愛してくれてありがとうございます」
「アリス、愛してます。それに話してくれてありがとうございます。これからも離さなくていい理由が増えてうれしいです」
さっきまでしんみりしてたのに、ルークの声になぜか不穏が漂う。
「ルーク……ど、どうしました?」
「女神様公認です。これからも今以上に、うんと甘やかしますね」
そういうと、湯船から出て風魔法で水分を吹き飛ばし、私を抱いてベッドに移動した。
「あ、あの……」
「アリス、愛してます」
キスから始まり、宣言通りこの日もうんと甘やかされて溺れさせられた。
ルークに蜂蜜のように甘く愛され溺愛される毎日になろうとは、召喚されたときは知らなかった。
悲しいこともあったけれど、それ以上に楽しく幸せな日々を過ごす……
ルーク……
あなたを愛してます。
これまでも、これからも。
本編完結です。読んでいただきありがとうございました。
番外編も書こうと思ってますので、その時はまた見ていただけたらと思います。
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