73 ルーク視点
ルーク視点
俺は今朝アレクに報告された内容を思い出していた。
「ルーク様、だいたいの解読が終わりました」
召喚されたものについて書かれたと思われる『呼ばれるもの』のことだ。
「チート能力は聖女をも越える能力でした。ヒールでは元に戻す以上に回復させ、例え瀕死になっていても全回復することができるようです。
そして極めつけは死んだものを生き返らせることができるようですが、これは自身の命と引き換えにできるようです」
そんな能力があったのか……。
「次の内容はかなり曖昧です。というのも文字が消えてしまい判別不可が多く、いろいろ試してみましたができませんでした。その中でもなんとかわかった部分だけいいますと『戦争や災害で多くの人が亡くなった、などがあると、全魔力を使って命を元に戻す能力が勝手に発動する』
このあとがしばらく解読不可で次、
『チート能力があるものは勝手に能力が発動することはないが、全魔力を使って自身で発動することはできる。
また、女神は召喚者はあくまでも助けるものであり、加護するには値しない。』と書いてありました。どこまでが本当かは分かない内容ではあります」
「ということは、アリスには女神の加護がなく、アリス自身には人の命をも助ける能力があると」
「あくまでも本によると……です」
「分かった。気に止めておく。ありがとう」
俺が召喚したがゆえにアリスに大きな重荷をつけることになってしまった。命を引き換えに誰かを助けるなんて、あっていいわけがない。
この件はアリスには知られたくない。アリスは迷わず助けるタイプだ。
そんなことを考えながらアナウンスを聞いていた。扉がゆっくり開かれ、俺はアリスの手をしっかり握り「行きましょう」と声を掛けた。
会場に入ると、招待を制限していたからそう多くはないが、それでも300人ほどはいる。
俺たちは案内され女神像の前に膝をつく。
「女神様、私、ルーク・ローズは一生涯ただ一人の人として、アリス・ローズを愛することを宣言いたします」
「女神様、私、アリス・ローズも一生涯ただ一人の人として、ルーク・ローズを愛することを宣言いたします」
すると、女神像が金色に光だし、その光がやがてアリスに降りそそいだ。
えっ?
こんな現象は聞いたことも見たこともない。一体なんだ?
アリスを見ると頷いたりして、まるで誰かと話してる様子で、アリスに降りそそいだ光がやがて全身を光らせた。
「あ、リス……?」
光が収まるとアリスの黒髪は金髪になり、黒目は青色というよりはグリーンに近い青で私と同じ蒼色をしていた。
「アリス……だ、大丈夫?」
「ルーク……私、加護をもらったみたい……」
「え?」
「詳しくはあとで話すけれど、こんなの初めて」
アリスは喜んでいるが、私ももちろん初めて見る。静寂を破ったのはルークの兄であり国王のクリスによる大きな拍手であった。やがて会場中で拍手が起こり、アリスは照れた顔をしていた。
拍手が止んだ頃、司会である宰相のリアンが
「ではお互いに魔力の交換を」
俺とアリスは向かい合い、俺は方膝をつき、アリスの手を取ると自分の魔力を流した。
次にアリスが片膝をつき、俺に魔力を流したのだが、今までとは異なった魔力であった。
「ルーク・ローズ殿下、アリス・ローズ妃殿下、退場」
俺はアリスを横抱きにすると、あちこちから悲鳴や歓声が聞こえたが無視をし、アリスに微笑んで会場をあとにした。
「これにて式は終わります。披露宴は案内通り会場が違います。お間違えのないように移動してください」
後ろからアナウンスが聞こえていた。
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