7
4日後。
熱も下がり、ベッドから起きられるようになった。
「おはようございます。気分はいかがですか?」
朝食が終わりソファーで紅茶を頂いていると、ルークが部屋に入ってきた。ルークの顔色がびっくりするぐらい悪い。
マリンはルークの紅茶を用意すると、他の侍女と共に退室していった。
「発熱して4日ほど寝込んでいたことは覚えてますか?」
「4日も……。」
魔力が安定せず、また発熱していたらしい。ひどかった頭痛が治まっていて、今朝は気分がよかった。
「まだ病み上がりなのですから、今日は部屋で過ごしてくださいね」
「ご心配おかけしてすみません。ルーク様は大丈夫ですか? 顔色が……」
「大丈夫ですよ。しばらく寝不足が続いたもので」
と微笑みながらいうと、私の隣に座って私を膝の上に座らせ、私を後ろから抱き締めた。ルークのいい匂いがふわっとした。
「ル……ルークさ……ま……?」
「しばらくこのままで」
ルークは抱き締めたまま動かず、私とルークの鼓動だけが大きく鳴っていた。
しばらくすると気持ちが落ち着き、会って間もないというのにこうするのが当たり前だったような不思議な感覚がしてきた。
「アリス……」
ルークは何度か名前を呼ぶものの、身動きしないままで、私も目をつぶり身を委ねたままだった。
どれぐらいそうしていただろうか。
ルークの手がゆるみ、私をルークの正面に向かせた。お互いに何も言わず、お互いに見つめあっていると、頭の奥で誰かと一緒にいた記憶がふわっと感じたがすぐに消えた。
「アリス……私と結婚してください」
うん……え? え!
思わず頷きそうになった。
は、早すぎませんか? 付き合うを飛ばして結婚!?
「あ、あの……私……」
「私が嫌いですか?」
ルークの顔色がひどく悪い。
「い、いえっ。そんなことは……ないです……」
「私との結婚はいやですか?」
交際したことさえない私が結婚って。
「いや、とかではなく……。むしろルーク様に私は釣り合わないし、交際さえもしたことないからどうしていいのか分からないし……」
「(ニッコリ)」
ん?
なにか答え方間違えたかしら…?
「いやではないのですね。ありがとうございます。分からなければ私にすべて任せていただければ大丈夫です。日取りは改めてお伝えしますね」
あれ?なんか間違えた?
了承した?
さっきまで顔色が悪かったルークは柔らかく微笑み、私をそっと抱き寄せた。耳元で幸せにしますよっ、という囁きと共に。
え?
しばらくするとノックの音がし、外からレイの声がした。
「ルーク様、お時間です」
それを聞いたルークは残念とつぶやき、すばやく私にキスをしてから私をベッドまで抱き上げて運んだ。そして私に向かって微笑んでから部屋を出ていった。
ルークの顔色は来たときよりもずいぶん良くなっていた。
「はぅ……」
び、びっくりした!! 多少息がとまっていたかもしれない。
顔をさわらなくてもわかる。絶対に真っ赤だ。もちろんファーストキスだ!
そしてルークからのプロポーズを思いだし悶絶した。毛布に潜り込み目を閉じた。
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