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馬車が王城に着くと、宰相であり、レイの父親でもあるリアンが馬車の待機所で待っていた。
「アリス様、こちらでございます」
リアンはクリスの執務室に裏の通路を使って案内した。そのため誰にも知られず入室できた。
入室すると、クリスとリアンに頭を下げられた。
「まさか、あの王女がここまでルークに執着しているとは知らず申し訳なかった」
「息子がルーク様を守れず申し訳ありませんでした。今、レイの記憶の治療をしています。あと半日もすればかなりの部分が判明します」
私は戸惑いつつも話を進めたく続きを促した。
「お兄様、どうやってルークを取り戻そうとしているのですか?」
「先ほど、ルークから渡されたという指輪を確認させてもらった。アリス以外が発動させようとしてもできない仕組みになっていたよ。そこで、私と一緒にルークのところに行ってほしい」
「なっ!クリス様!それでは計画が違います!」
「うん。だがな、何かあったときに対処できるのは私だけなんだよ。私だと戻るのに転移ができる。膨大な魔力量もある。最適だろ?」
「しかし国王のあなたが!」
「リアンよ、国王である前にルークの兄なんだよ。国王としての私の代わりはあっても、ルークの兄の代わりはいないのだよ」
「……」
「お兄様、いいのですか?」
「かまわないよ。そこで相談なんだが、光の魔法を私の妃から習い受けてほしいのだがいいか?」
「お姉様に?」
「リリーは元聖女なんだよ。光属性のスペシャリストだ」
「分かりました。時間があまりありませんよね。今すぐお願いします」
「うん、リアンに案内させよう」
ルークを助けるためなら一刻も早く習得したい。その気持ちでリリーのところまで急いで行った。
私、リアン、カインとでリリーのところに向かうと、リリーと一緒にアレクセイがいた。お屋敷にいるはずのアレクがなぜ?と思っていると、リリーとアレクはいとこで私に急ぎ伝えることがあるとのことでリリーのところに来たらしい。
「リリーから習ってからの方がいいのかもしれないけれど、アリス様のチート能力だけができるものがあります。それを伝えに来ました。
あなたのチート能力による治癒は、聖女以上です。どのような状態でも治せます。ただ、魔力切れを起こせばあなたの命が危ない。くれぐれも気をつけて使ってください」
こくんと頷く。
「アリスちゃん、早速始めましょう、治癒の初級、ヒールはできるのよね?」
「はい、できます」
「基本的にはヒールの強弱はレベルによるのよ。レベルが高ければ強いヒールが。レベルが低ければ弱いヒールしか掛けられないのよ。
あとは思いの強さね。これぐらいの強さでっていうのを明確にすることよ」
そういうと、リリーはおもむろにナイフを取り出してシュパッと音をたてて自分の腕を切った。すると血がドクドク流れ出した。
「っつ……。さ、アリスちゃん、具体的に思い描いて治して」
私は目を見開いた。リリーは王妃である。失敗は許されない。
私は心の中で、先ほどまでの綺麗なリリーの腕を想像しヒールを掛けた。
「まぁ!」
リリーの傷は全く分からないようになり、完治したのが一目で分かる。
「アリスちゃんのチートがわかったわ。本来は血液は戻らないのにすべて元通りね。すばらしいわ。それにとても勘が鋭いわね。傷の様子を感じとる力がすばらしいわね」
「その前に、心臓が止まりそうになるので、お姉様、ご自身を切るのはお止めください」
「大丈夫よー。いざとなったら自分で治せるから」
ふふっと笑いながら言うリリーになんとなく夫婦で似てるなあと思った。
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