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お屋敷に戻るとマリンや他の侍女が待ち構えていた。
「やっとお体を磨けます!今日は徹底的にやりますよ!」
結婚式に向けていろいろと予定を組んでいたのが日数が減って急いで詰め込むことにしたらしい。
「まずはこちらをお飲みください。疲労回復になりますので」
紫色のドロッとした飲み物で、見た目だけならスムージーみたいな感じだ。飲んでみるとブルーベリーみたいな味で見た目に反しておいしかった。これなら毎日でも飲みたい。
「次は湯あみをして、それからマッサージに入ります」
恥ずかしいとか言ってる場合ではないくらいの気迫に押され、湯あみもマッサージも素っ裸だったけれども、マッサージが気持ちよすぎていつの間にか寝てしまっていた。その間、爪のお手入れ、髪のトリートメントまですべてをやってもらっていたらしく、終わった頃には全身すべすべだった。お礼にと侍女みんなにヒールを掛けていった。
「終わったようですね」
部屋に戻るとルークが待っていた。夕食を用意してもらいいつものように膝の上で食べさせてもらっていると、ルークが何度も顔をすりすりしてくる。
「どうかしました?」
「ものすごくすべすべでもっちりしてて、ずっと触っていたいだけです」
「マリンたちのおかげですね」
そういうと、ルークは食事もあと少しで終わりというときに、私を横抱きにし隣の部屋に移った。
「ルーク……?」
「キレイなアリスの全身を見たくなりました」
「そうはいっても明るいままは恥ずかしいです」
「夫婦ですから大丈夫ですよ」
何が大丈夫か分からないけれど、ルークが堪能したあとは部屋を薄暗くしてくれた。
* * *
朝になり目が覚めると、うっとりした顔のルークと目があった。
「おはようございます、ルーク」
「おはようございます、アリス」
ルークがあちこちまさぐるのを止めようとしてもかなわず、結局朝からも致してしまった……。
侍女の力恐るべし。
湯あみをし朝食を食べると、今日は1日ダンスレッスンの日となっていた。ルークにあらかじめヒールを掛けてもらっていてよかった。
今日から結婚式で御披露目するダンスを超特急で覚えなければならない。基本のステップはできているから、次は流れるように踊るだけなのだが、それがなかなか難しく変に力が入ってしまう。
「一旦、休憩にしましょう」
そう言ってカインがお茶とクッキーを用意してくれた。
カインと2人きりは誘拐のとき以来で、さんざん一緒に踊ったのに少し緊張する。イケメンなのが悪い。
「アリス様、どうかしましたか?」
「いえ、2人きりなのは誘拐のとき以来だなあと思っただけです」
「あのとき、ヒールを掛けてもらわなかったら……、身体強化を掛けてもらわなかったら……と考えることがあります。アリス様は命の恩人です。ありがとうごさいました」
「そんなことないです。カインがいなかったらきっと耐えられなかった。いてくれてありがとうごさいました。
それにしても……、なぜ私は魔力が使えたのでしょうか」
「魔力封じの魔石で魔力が使えなくなっていたのは確かなのですが……。
もしかして、今つけてらっしゃる魔力を押さえるネックレスは、実は効いてない?とか?」
「えっ。ということは、魔力が暴走したら止められないということ?」
「いえ、試してみないことには分かりませんが、この事はルーク様とアレク様に報告しておきますね」
「はい」
雑談から思わぬ話になってしまった。
杞憂に終わればいいのだが。
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