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次の日、私はルークたちと王城に来ていた。ことの顛末を報告するためであり、お茶会をするためではなかったのだけれど、部屋の様子を見るとお茶会にしか見えない。
いろいろスイーツや軽食、飲み物などが用意されていて、小さなパーティーのようだ。
「アリス、カイン、2人とも大変だった分たくさん食べて楽しみなさい」
国王であるお兄様からのねぎらいの気持ちだったようで、私たち以外は趣旨を知った上で登城していたらしい。
「んもう!ルーク、知ってたなら教えてくれてもいいのに」
「2人には驚きも含めて楽しんでもらいたかったのですよ」
クスクス笑うルークに私の顔も次第に笑顔になる。ルークと笑いあっていると、男性が1人近づいてきた。
「ルーク様、お久しぶりでございます。アリス様、お初にお目にかかります。私はユーリと申します。ライトとカインの父です」
私はあわてて挨拶をした。
「アリスです。カインにはいつもお世話になりっぱなしで……」
「いいえ、今回の件、愚息がアリス様を守りきれなかったことが発端で」
と言い出したときにルークが遮った。
「ユーリ、それはもうカインとも話しましたよ。親子揃って私が結界を壊されてってまた謝らせたいのですか?」
ルークが言うとユーリは目を見開いた。そして笑顔で答えた。
「ルーク様ありがとうごさいます。では今後ともよろしくお願いいたします」
カインが年を取ったらユーリになりそうだなあと思うくらい似てる親子だった。それにしてもどうしてこうもイケメンばかりいる世界なのかしら……。
思わず赤くなった頬を両手で押さえると耳元で囁かれた。
「アリス、今夜は楽しみですね」
ルークの顔がこれ以上ないくらい笑顔になっていた。
しまった。もうオソイ……。
「おや?アリス、具合が悪いですか?顔色が悪いですよ」
「だ……ダイジョウブ……デス」
ひきつる私。笑顔のルーク。
今夜は早めにヤスミタイナー。
「ん?アリス、具合が悪いのか?」
「お兄様!」
「大丈夫か?」
「大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません」
「アリス、気にするな。ルークはほどほどにね」
ハッハッハッと笑うお兄様に私たちもつられて笑った。
楽しいパーティーは朝から昼過ぎまで続いた。
「次は結婚式だね。そのころまでにはニットラーチェに壊された家屋もある程度は修復できるだろう。2人とも幸せになりなさい。
それとカイン!今回はご苦労だった。アリスを守ってくれてありがとう。
皆もよくがんばってくれた。改めてありがとう!」
お兄様の言葉にみんなが自然と頭を下げる。そして拍手が起きた。
「では、みんな執務に戻るとしよう」
お兄様の言葉にパーティーはお開きとなった。
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