6 ルーク視点
アリスをやっと召喚できた。俺の手元に連れ戻せた。間に合った!
去年ぐらいから、なぜかアリスの生への執着が薄れてきていて、最近は魂をたどりにくくなっていた。事切れる前でよかった。
転生するときは前の生からある程度は引き継がれる容姿ではあるが、アリスはほとんど前世と同じ造形で黒髪、黒目なのもまた綺麗だった。
前の生でも二重のぱっちりした目、小さめな鼻、少し薄目の唇でそのまま生き写しだった。
◇
「アレク、報告を」
「改めて王宮等召喚者の文献を残っているもののすべてを読んできました。 が、アリス様同様のステータスのものがありませんでした。
また、召喚された者が短命な理由は、ほとんどは魔力の暴走を引き起こしてのもので間違いないようですね」
「魔力の暴走は魔力を制御すれば今は回避できるようになったが……ステータスはアリス特有か……。俺も兄上にも聞いてみたがはじめてだとおっしゃっていた」
「引き続き、魔力について調べてみます」
「生命力についてはどうだ?」
「通常よりも緩やかにしか増えてないようですが、これについては理由は分かりません。ただ、ルーク様の口付けで増えたのが先ほど分かりましたので、こちらの世界のものに触れると増えるのかもしれません。が、これは調査中です。わかり次第報告します」
アレクは挨拶をして下がっていった。
召喚された者は召喚の影響なのか、長くても十五年、早ければ半年ほどで亡くなると言われている。それを知った上でアリスを召喚した。
召喚自体がかなり昔に行われたままで、そのころからするとこの世界も発達した。魔力を制御する魔道具もある。短命なことについてはなんとかなると思って魔道具は渡してあるのだが……。
それと、スキルがチート能力でレベルが∞というのがどういうことなのか。見たことのないスキルだ。
しかも生命力についてもだ。俺の口付けで増えるならいくらでもしよう。
だが原因が分からなければ解決とはならない。短命にこの辺りも関係しているのであろうか。
アリスが生まれたときに、俺の中にアリスの魂がどこにあるのか感じられるようになっている。今回もそれは感じられたのだが、それは異世界であった。無事に召喚するために準備を入念に行ったはずなのに……。
「レイ、城に行く」
◇
「兄上、お時間よろしいですか?」
「全く、お前はいくつになっても突然くるなあ」
兄上は苦笑しながらも、側近たちを下げてくださった。
「して、どうした?」
「アリスと結婚します。許可をください!」
「それはまた早急だな。まあ好きにいたせ。
アリスには結婚までの短い間だが、召喚の習わし通り伯爵位を与えよう。屋敷や領地は希望があれば伝えよ。なければ、こちらで見繕う。
だが一番に、私への紹介は必須だぞ」
「もちろんです」
「ああ、そういえばアルボーン男爵家からまた婚姻の申し込みがきていたぞ。もう何度目だ。何度断られても懲りないらしい」
「ご迷惑おかけしました」
「迷惑などと思うな。ルークにももっと構ってやりたいぐらいなのに。
アルボーンには宰相が対応する」
「ありがとうございます」
「それと必要なものは言え。お前はほしがらないからつまらん」
「ふふ。では何か考えておきます」
◇
これで結婚については問題なしだ。あとはスキルのことがクリアすればいいのだが。
アリス
アリス
アリス
離れていた分、今後アリスがどう思おうと手放さないし、アリスには俺だけを見ていてもらいたい。一時も離したくない。
十九年……十九年待ったんだ。
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