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55 ルーク視点

 ルーク視点


 兄上と別れてから用意させていた馬に乗りラウニー男爵の邸に向かった。馬は不眠不休というわけにはいかないからヒールを掛けつつ、馬を代えつつ、なんとか2日と4時間をかけて邸に着いた。


「様子を見てきます」


 ライトが数人連れて探りに行った。

 この時間ももどかしい。

 私は私で邸を鑑定し、屋敷の見取り図を書き出した。邸の全体に結界はあるものの一般的なもので、地下に結界が何重にも張られた部屋があった。結界というよりも封印されているような……。



「戻りました。邸の周辺には人がいません。邸の中の1階、2階には人の気配はありませんが、地下は結界が強く分かりません」


 ライトからの報告に、邸の出入口3箇所に分かれ同時に攻めいることにした。


 念のため魔法でドアを吹き飛ばすと、爆発が起きた。やはり仕掛けをしていたか。

 幸いにも離れていたので誰も怪我はしなかった。


 中に入ると物は何もかもなく、文字通りもぬけの殻だった。そのかわり、地下に続く階段への通路は頑丈に壁で固めてあり、中の状態が分からないまま壁を壊していくことになった。


 攻撃魔法で少しずつ爆発させ壁を破壊していく。人が通れるぐらい壊せたが、結界があり中には入れない。


「結界が何重にも張られている。さっき、扉を開けると爆発したこともあり、結界を破壊したら何か起こるかもしれない。どうするべきか……」



 魔導師のマーラに相談をする。


「私たちが結界を破壊すると同時に中にいるであろう2人に爆発に耐えうる保護魔法を掛けてほしい。できるか?」


「やります」


「保護することにのみ、集中してくれ。任せたぞ」


 国で一番の魔導師を寄越してくれた兄上に感謝をする。


「レイ、力業で結界を壊していくぞ」


「了解」


 破壊する位置を決め、俺とレイで集中的に攻撃魔法を放ち轟音を鳴らしながら結界を壊していく。

 何重か分からないがかなりの時間が経ち、玉のような汗が流れるなか、最後の一撃が決まり結界がパリンと割れるように壊れたと共に爆発音がした。やはり仕掛けをしていたのだ。


 マーラを見ると頷いたので、おそらく保護魔法は成功した。


 しかし、中は煙が酷いので何も見えず、風魔法で煙と瓦礫、埃を集め、部屋の空気を正常化させた。


「アリス!」


 壊れた扉に鉄格子が付いていたので剣を強化させ斬り倒し中に入ると、カインがアリスを抱き締めたまま倒れていた。


「大丈夫か!!」


 叫びながら駆け寄るとカインがゆっくり起き上がり、アリスをゆっくり起こした。


 2人とも声が出ず呆然としている。

 無事かよく分からなかったのでヒールを強めに2人に対して掛けた。


「あぁ、やっと耳が聞こえるようになりました。ありがとうございます」


 カインから、爆音が直接耳をやり、耳鳴りがひどくなり何も聞こえなくなったと聞いた。


「アリス?」


 声を掛けると焦点が合ってない。


「アリス!」


 頬を両手で挟み、無理やりこちらを向かせるとやっと気がついたように目を見開き涙が溢れだした。


「ルーク……」


 アリスを力一杯抱き締め「よくがんばったね」と言うとアリスは声をあげて泣き出した。


「長居は無用だ。アルメリア宮に今夜は泊まろう。そこまで皆がんばってくれ。ライト、先に伝えてきてくれ」


 アルメリア宮は先代の王である父上が建てた宮で小さいころは毎年訪れていた。湖がそばにあり、とても美しい宮であった。


 アリスを横抱きにし、あちこち壊れた箇所にぶつからないように歩き、馬を繋いでいるところまで行った。アリスは私にしがみついていたが一旦下ろし、馬にまたがった後カインに手伝ってもらいアリスと2人乗りした。

 アリスは馬の経験はないらしく、乗るのを渋ったが、一刻も早くここを離れたかったことを告げると納得してくれた。


「怖い……」


 馬を走らせた直後に聞こえてきた声に、アリスを支えている腕に力をいれた。片手で手綱を引いているが、風魔法で安定させているから落ちる心配もない。


 その私の腕にアリスがぎゅっと掴まっている。久しぶりのアリスの感触にやっと心が落ち着けた気がした。



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