53 クリス・ローズ国王視点
クリス・ローズ国王視点
朝日が辺りを照らし出した頃、リアンと数名の近衛騎士を連れて裏門の方へと向かった。
裏門の方には私の結界で城の中に入れず悪戦苦闘している辺境伯と魔導師、私兵の姿があった。
「ニットラーチェ、久しいな」
私に気がついた辺境伯が手を止めた。
「これはこれは陛下。高みの見物ですかな?」
「いや、うるさい蝿が飛んでるようだから、直々に退治してやろうかと」
「前国王が張った結界に守られた城から出ないあなたに何ができますか?側近や近衛騎士団たちにさせるのですか?」
ニヤリと笑い、バカにしたように話す辺境伯に辺境伯が連れてきた魔導師が言う。
「やはり魔力は小さいようです。これだけ近くにいても感じません」
「陛下、お父上と違って魔力が少ないらしいではないですか。これからは私が陛下に成り代わってこの国をお守りいたしますよ」
「言いたいことはそれだけか?」
図星を突かれて虚勢を張っていると思ったのか、辺境伯はさらにバカにして言った。
「お飾りの陛下はとっとと立ち去ってください」
「言いたいことはそれだけか?」
隣でリアンが眉間を押さえて目をつぶりため息をはいた。
辺境伯たちはリアンの様子を見て、完全に虚勢だと思い込み強気で煽ろうとしたところに、私はあっさりと城の結界から出た。そして魔力を制御する魔石のついたネックレスを首から取った。
「な……なに!?」
リアンと数名の騎士たちは巻き込まれたらかなわないと、城の結界から出ないようにしていた。それを確認した私は魔力を100%増幅させた。
「さて、言いたいことはそれだけか?」
辺境伯や魔導師たちは私の気だけで動けなくなり奥歯をガタガタ言わせていた。
「私の魔力は豊富すぎて幼いときから魔石で制御していただけだ。今日は100%の力を出して反撃してもいいよね?」
顔面蒼白になった辺境伯はその場にへたりこんだ。
「魔力が高いと言われてる王弟殿下さえ、王都から離せばなんとかなると思ったのに……」
魔導師や私兵たちは呆然としたままだった。
「リアン、私がいじめてるみたいで気分悪いんだけど……」
「まあ、強すぎるから仕方ありません」
そう言いながら騎士たちに拘束するように促した。
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