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食事も終わり、部屋から外を見ると大きな庭園があり、この世界にきて、はじめて外を見たことに気がついた。
ゆっくりするように言われていたので、ソファーに座りうとうとしていると、扉をノックする音がなった。
マリンによるとルークが来たらしい。
「アリス! おはようございます。体調はどうですか?」
なんとなく、ルークが焦っているようにみえる。レイは部屋の外に控えているようだ。
ルークはマリンを部屋から下がらせ、私の隣に座った。
「アレクから報告がありました。アリス、全属性だとか…」
「はい……」
「すみませんが、アリスを鑑定してもいいですか?」
「……はい……?」
ルークの様子からなんとなく心配が残るが、ルークは「鑑定」と言って私にスキルをかけた。
一瞬、ほんの一瞬絶句したような顔をしたが、すぐに立て直した。
「アリス、なにがあっても私があなたを守ります。些細なことでも、私に相談してくださいね」
昨日からニコニコ笑ってる印象しかないルークが真剣な顔をしていることに気づいて、私の顔は熱をもった。
「これをつけていて下さい。これはこの世界でアリスにとって必要なものです。魔力の暴走を防ぎます。これをつけている限り暴走はしません」
といって赤い色の石がついたネックレスを首に下げてくれた。赤い石はルビーかな?
アクセサリーをもらうのは初めてでドキドキする。顔は赤くなりっぱなしだ。
「すみませんが、まだ仕事が残っています。また夕食時にお話しましょう」
ルークはすこし残念そうに私の頭をなでてから部屋を出た。
ルークと入れ違いにノックと共にマリンが来てくれた。せっかく来てくれたのだが、なんだか体が熱くなってきたような気がする。
「マリン、なんだか体がだるい気がするので、横になりたいです」
そう伝えると用意をしてくれた。寝不足だったのかなあ。ふわふわのベッドにしばらくうとうとしていたが、いつの間にか瞼が落ちていた。
◇
なんだか遠くで声が聞こえるが、瞼が開かない。頭痛がひどい。
「アレク、どうだ?」
「ルーク様、今朝落ち着いていた魔力がまた乱れています。発熱はそのせいかと思われます」
「原因は分かるか?」
「魔力の安定までに何度か乱れるものではありますが、これほどまで乱れる原因は分かりません」
「私がみてみよう。少しは探れるかもしれない」
「うーん……。鑑定してみたが今朝みたときよりも魔力が急増してる。生命力は逆に減っているな。この辺りに原因がありそうだが…」
「魔力の乱れにはヒールも効きませんし…」
と聞こえてすぐに、唇になにかがあたった。頭痛が少し引いた気がしたが、そこで意識が途切れた。
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