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「アリス、昼から何も食べてないですよね。今から夕食にしましょう。寝室にいると誰も入れないので一旦私室で着替えましょう。それとも私が着替えを手伝いましょうか?」


「あ~っと、私室に行ってきますね」


 クスクス笑うルークと部屋を出て各自私室に向かうとマリンが待っていてくれた。


「アリス様、おかえりなさいませ。夜会はいかがでしたか?」


「ルークと一緒に踊れて幸せでした」


 着替えを手伝ってもらいワンピースに着替えると体が楽になった。


 カインが部屋に来て食事はここで取ることを伝えられた。


「カイン、今日はありがとうございました。あのとき歩けなかったから助かりました」


「いえいえ。怪我をする前に支えられたらよかったのですが……。痛みはどうですか?」


「全くないです。実は疲れもないので、今はすごく元気です」


「ルーク様のヒールのおかげですね」


「それだけじゃないですよ。カインがずっと看病してくださって心強かったです。カインありがとうございました」


「では、そろそろ食事を持ってくるように伝えてまいります」



「カイン様と何かありましたか?」


 マリンが聞いてきたがルークが来そうだったので「怪我したときに運んでもらったの」とだけ答えた。


 食事が運ばれてセッティングしているときに、ちょうどルークが部屋にやってきた。


「今日は疲れたでしょう。夜も遅いので食事は軽めのを頼みました」


 いつもの定位置にルークは座り、両手を広げたので私はルークの膝に座る。このあと必ずルークは私をぎゅっと抱き締め頭にキスをする。これだけで毎回キュンとする。までがルーティンになっている今日この頃。



 食事中、さんざん甘やかされたあと、食後の紅茶を取ることなく、寝室に戻り湯あみを一緒にし、早々にベッドに入った。


「アリス、今日はどうでしたか?」


「ルークと踊れたことがとても幸せでした。夢のような時間でした」


「私もです。夜会で踊るなど今までしなかったからアリスとが初めてですが、最初がアリスでよかった」


 ルークは腕枕していた私を引き寄せてキスをした。


「私は改めて、このかっこよくて素敵で優しくて大好きなルークが旦那様でとても幸せだと思いました。ルーク、私を見つけてくれてありがとうございます」


 ルークが私の目元を指で拭った。


「泣かないでください」


 泣いたつもりはなかったのだが、涙が溢れでた。ルークは私を慰めるように優しいキスをすると、


「アリス、今日はいろんな人に挨拶されてましたね。誰にも見せたくないのに」


 態度は甘いのに、言葉が不穏だ。


「しばらくは誰にも見せたくないです。誰にも。私はアリスさえいてくれたら、他は何も要らない。

 今日、兄上との打ち合わせ通りとはいえ、私と離れたことで怪我をさせてしまい、さらにはカインにアリスを抱きあげさせてしまいました。

 仕方のないこととはいえ、ショックだったのです。なぜ、助けるのが私ではないのかと」


 私はルークを強く抱き締めた。


「アリスの関わるすべてに私は関わりたい」


 すごい愛の告白だと思った。


「私も、ルークのすべてがほしい。

 この世界にきて、前世を思い出して、ルークに愛されて……。私はいっぱいもらってばかりなのにまだほしくなる。幸せなのにもっとを求めてしまう」


 ルークに強く抱き締め返されると、ルークの心音が聞こえてとても心地良い。ルークの匂いに包まれていつの間にか寝てしまっていた。



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