43 ラムス・アルボーン男爵視点
ラムス・アルボーン男爵視点
そんなある日、娘のフローラから王弟殿下と婚約したい。王弟殿下はフローラを愛していると聞いた。だから婚約を申し込みたいと。
フローラが私に頼み事をするのはほとんどない。娘のために叶えてやりたくなった。それに王弟殿下が娘と結婚すれば政治の中枢に入り込めるかもしれないと思った。フローラが魅了を使い、私が薬を使いこっちの思惑通りに使えるのではないかと。
そこからは政権に入ることは内緒に、王弟殿下との婚約のことだけを侯爵に相談した。王弟殿下に影をつけてもらい、もし王弟殿下に悪い虫がつけば排除することにした。
ちょうど王弟殿下が町の散策に女連れで出たようで、女の始末を命じたが失敗したようだった。王弟殿下には有能な影がついていたようだ。その後は女の足取りは全くつかめなかった。
そのことから、侯爵からは王弟殿下のおそらく婚約者であろうと知らされていたが、娘にどうしても伝えることができなかった。その代わり王弟殿下に対して求婚の申し込みは一目だけでも会ってほしいと小まめに出した。
小まめに出した求婚の返事は毎回同じですべてダメだった。最後は宰相閣下が直々にきて「身分の低いものから高いものへの求婚はマナー違反、しかも王族への求婚はもってのほか」と言われ、2度としないようにと注意があった。
フローラは諦めず、次の王家主催の夜会で魅了を使うと張り切っていた。
夜会当日、張り切るフローラを見ているともう1度チャンスがくるような気がしてきた。
しがない男爵で終わってたまるかという思いと、侯爵の手足になったことからくる疲れ、そしてもう捕まって終わりにしたいという思いとが交錯してた。
ただ妻は私が何をしているかは知らない。知らないからこそ捕まったときは逃がしてあげたかった。
夜会も中盤になったころ、娘がよれよれになりながらきた。
「お父様、私の力が効かないのです。どうしたら……」
「んー……では私が挨拶に行き媚薬をこっそり飲ませるから、媚薬が効いてるときに力を使ってはどうだろうか。そして媚薬の効いてる殿下にお手付きでもされれば……」
「分かりました。ではお使いになられたら合図をくださいませ」
「よし、分かった」
魅了が効かないということは保護魔法をかけているのだろう。それならば強力な媚薬を飲ませてはどうだろうか。うまくいくことを祈り、慎重に近づいた。
ちょうど給仕からシャンパンを受け取り王弟に渡せるときがきた。とまどうことなく王弟殿下に渡し、殿下も一口飲んだのを確認した。娘には手を下の方に下げ小さな○を指で作り合図を出した。
そしたら、王弟殿下はその場で近衛騎士を呼び、私はシャンパンとともに連れていかれた。媚薬を入れたことが分かったということらしい。
連行されるときは抵抗することなく従った。私は早く捕まりたかったのかもしれない。何も知らない妻だけは心配だったが、今さらどうしようもできない。
私はどこで間違ったのだろうか。
おそらくだが、私は侯爵に暗殺されるだろう。だが、私の隠し金庫には侯爵が命じたと分かる不正の証拠がある。
騎士団にうまく渡るといいのだが……。
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