41 フローラ・アルボーン視点
フローラ・アルボーン視点
夜会当日、私は男爵令嬢ではけして着られないような豪華なドレスを着て王城に入った。お父様から、今夜の夜会に王弟殿下が出席すると聞いて張り切って用意したのだ。
そして、お友だち(!)の男に王族の控え室を張らせていると、王族が控え室に入っていく際、王弟殿下が保護魔法が付与された魔石を女に渡し、自分の分は懐にいれたところを目撃したらしい。
さっそく、別の男女それぞれに魔石を盗むように力を使って頼むと、ダンスに託つけて自然に盗み出してくれた。
それにしても、婚約どころか結婚までしていたなんて。きっとあの宰相が裏で手を回したのだろう。相手の女には国外追放ぐらい言い渡したい。
女の方に力を使おうと近づくと、護衛にあたっていた男に抱かれてホールから出ていってしまった。
あの女、護衛とできてるのかしら?だったらちょうどいいわ。あとでまとめて国外追放にしてあげる。
私は王弟殿下の元に行くと、ありったけの力を込めて私を好きになるように力を使った。これで私はこの見目麗しい男に愛される。王弟殿下に群がっている女たち、ザマーミロ。
胸を押し付けるように腕を絡めてうっとりした顔で王弟殿下を見ると
「勝手に腕を絡めないでいただきたい」
「えっ?」
王弟殿下は私の腕を振り払うと無表情で袖を払った。
「どういうこと?」
「私はこれで失礼する」
え……?
私の力が効いてない……?
混乱していると回りにいた令嬢たちに詰め寄られた。
「あなた、身分や立場をわきまえなさい」
「許可も得ていないのに触るなんて」
「あなたのせいで殿下を怒らせてしまった!」
いろいろなじられて攻められてはいたが耳に入らず、それよりも力が効いてないことに混乱し、よろけるようにお父様を探しに行った。
「お父様、私の力が効かないのです。どうしたら……」
「んー……では私が挨拶に行き媚薬をこっそり飲ませるから、媚薬が効いてるときに力を使ってはどうだろうか。そして媚薬の効いてる殿下にお手付きでもされれば……」
「分かりました。ではお使いになられたら合図をくださいませ」
「よし、分かった」
お父様は私がお願いをすると何かと力になってくれる。今回もきっとうまくいくはず。
しばらくすると、お父様が王弟殿下に近づいていくのが見えた。途中給仕からシャンパンを受け取り殿下に渡した。お父様は手を下の方に下げ小さな○を指で作った。媚薬を飲ませることに成功したらしい。
次は私の番だと行こうとしたら、王弟殿下はその場で近衛騎士を呼び、お父様はシャンパンとともに連れていかれた。媚薬を入れたことが分かったということだろうか。
お父様が連れていかれ、私はどうしていいか分からなかった。そうこうしているうちに、私の前にも近衛騎士がきた。
「魅了の件について聞きたいことがあります。一緒に来て下さい」
「わ……私、そんなの知らない。だいたい私ではない!!」
ありったけの力を込めて近衛騎士に私を助けるように発動させたが何も起こらなかった。
「なんなのよー。もう!
だいたい、王弟殿下に妃がいるのもおかしいわ!王弟殿下の妃は私がなるはずだったのよ!聞いてるの?王弟殿下と結婚するのは私なのよ!」
と叫んだところで、後ろから近衛騎士の手刀がきて、私は一瞬で意識が落ちた。
次に目が覚めたときは地下牢に入れられ、魔力封じを首に付けられていた。
おかしい。どうしてこうなったの?
牢番は私が王弟殿下に力を使ったこと、力を使って貢がせて没落まで追いやったことで裁かれるって言っていたけれど、私の力をどう使っても私の自由でしょ!
殿下と結婚したあの女、許さない。
王弟殿下はあの女に操られてる。
私が早く救わないと!
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