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39 ルーク視点

 ルーク視点


「ルーク様、陛下がお呼びです」


 男爵の件で少しざわついていたがレイが呼びに来たので現場は近衛騎士に任せてレイと共に控え室へと向かった。

 控え室に入るとすぐに兄上から説明があった。


「まず魔石を盗んだのは例の男爵の娘によるものだ。盗んだ男女を診療すると魅了を掛けられていて、掛けられた前後を覚えていなかった」


  やはり。


「そして魔石の記録だが、魅了を掛けているのがしっかり記録されていた。これで男爵の娘を拘束できる。とりあえず今魅了にかからない騎士を向かわせたところだ」


「うまく録れていてホッとしました」


「もう1つ、今魅了の治療中で医務室の医務官が空だ。アリスが怪我をして医務室にいる」


 そう聞いたときには走り出していた。

 カインが横抱きしたときにやはり怪我をしていたのか。



 医務室につくと、中から声が聞こえた。


「怪我のせいでしょうか。熱が出てきましたね」


 俺はノックもせずに中に入ると、ベッドの周りにカーテンが掛けられており、カーテンから中を覗くと、寝ているアリスの横にカインが座り、足に氷を当てているところだった。


「アリスの容態は?」


「足を骨折されてます。また、それにより発熱なさってます」


 それだけ聞くと俺はアリスに強めのヒールを掛けた。すると足の腫れは引き、熱も下がり、アリスの顔も穏やかになった。


 俺はアリスの背中と膝裏に腕を差し込み横抱きにすると、医務室のものに「世話になった。ありがとう」と伝えた。


「レイを呼べ。帰る」


 とカイルに言いながら馬車に向かった。


 馬車に乗ると、俺はアリスの様子を見た。ヒールを掛けたときに眠くなるようにしたから目覚めるのにあと1時間ほどかかる。


 10分ほどするとレイが戻ってきた。

 従者が馬車を出発させたが、心得ているからかアリスのためにゆっくり走らせている。


「レイ、あのあとどうした?」


「男爵の娘のフローラは最後まで自分ではない、知らないと叫び騒ぎを大きくしていたよ。それに、ルークの妃は自分がなるはずだったとも叫んでいたから、近衛騎士が気絶をさせて連行していった」


「ま、証拠があるから男爵らは処刑されるだろう。俺に手を出さなければ処刑にまではならなかっただろうがな。自業自得だ」


「姫様はどうだった?」


 カインに向けてレイが聞く。


「アリス様は令嬢たちから押し出されたときに足をひねったようで骨折されましたので医務室におりました。ルーク様が来られてヒールをお掛けになったので、今は完治されてます」


「骨折は想定外だった」


 俺がついていながら…。


「ルークのせいじゃないから落ち込むな。それより治せる怪我でよかったよ」


 レイはいつも俺が落ちないように気遣っている。ありがたいと思う。


「そうだな」


 馬車は屋敷に入り、眠ったままのアリスを抱いて寝室に行く。

 アリスをベッドにそっと下ろすと、優しくキスをした。日課になっているアリスのステータスを見ると安定していることにホッとする。

 ベッドの端に座り、アリスの頭を撫でていると急に前世を思い出す。

 もうアリスは目覚めないのではないか……。

 アリスが寝ているといつも不安がつきまとう。


 しばらく頭を撫でているとアリスがゆっくり目覚めた。


「あれ?痛くない……!?」


「それはよかったです」


 笑顔で言ったつもりだったがアリスから抱きつかれた。


「アリス?」


「ルーク顔色が悪いです。きっと私が心配かけたから……。もう大丈夫です。ルーク、大丈夫ですから」


 泣けてきた。

 リンが亡くなったときの悪夢を見てはひとり涙していた。

 でも今はアリスがいる。俺を見てくれるアリスがいる。


 いつの間にか強く抱き締めていた。アリスの心音を感じ、しばらくすると心が落ち着いた。


「アリス、ありがとう」


 生きてそばにいてくれてありがとう。


「どういたしまして…?」


 苦笑しながら言うアリスも最高に可愛かった。


 

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