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38 ルーク視点

 ルーク視点



「では今から会を始める。今宵は楽しんでいってくれ」


 と開会の宣言が国王によりあった。


 いよいよか。いよいよ夜会が始まった。

 ダンスのためにホールに降りる。ホールに降りる機会はあまりないため、接触してくるならダンス前後が可能性が高い。

 だがホールの中央に出るまでに接触はなかった。


「練習通りリラックスして楽しみましょう。アリス、私と踊っていただけますか?」


「喜んで!」


 緊張をしていたアリスに声をかけると、雰囲気が少し柔らかくなった。こういうとき、たまらなくうれしくなる。

 この幸せな時間がずっと続くことを祈って踊っているとふいに


「ルーク大好き」


 アリスが幸せそうな顔で言ってくれた。


「私もです」


 俺はこれ以上ないくらい幸せを感じ、また、幸せを噛み締めながらアリスと踊った。アリスがかわいすぎて連れて帰りたい。部屋に閉じ込めたい。願いはつきない。

 

 ダンスが終わりアリスとお互いに挨拶をしていると、ダンスをしている別のペアの男性がアリスにぶつかってきた際、アリスから魔石を盗むのが見えた。

 

「わっ、申し訳ありません!」


 ぶつかった男性は頭を下げると俺の睨みに気付き、女性を連れて人混みの中に足早に消えてしまった。



「アリス、大丈夫ですか?」


「大丈夫です。ちょっとぶつかっただけなので」


 アリスには怪我などはなく、魔石を盗まれたことにも気がついてないようだ。アリス自身に保護魔法を掛けているから大丈夫ではあるが、やはり相手は魔石を渡していたところを見ていたようだ。


 アリスと話していると令嬢たちが押し寄せてきてアリスと離されてしまった。アリス以外と踊る気はなかったから断っていると、カインがアリスを横抱きして出ていくのが見えた。


 アリス……怪我でもしたのだろうか。今すぐそばに行きたいが相手の狙いが俺なら行けば巻き添えにしてしまう。


 アリスに気を取られていたら俺の懐から魔石を取った女がいた。

 さっきの盗んだ男もこの女も影が追いかけているから直ぐにでも身元が判明するだろう。


 抜き取られてすぐにフローラ・アルボーン、例の魅了使いの娘が近づいてきた。

 男爵令嬢とは思えない豪華なドレスを着て、薄いピンク色の髪をふわふわさせながら、フローラは俺の目をみて魅了をかけた。


 残念ながら俺にはかからない。この程度のものにかかるような王族はいない。だいたい魅了で好きになられてどこがうれしいのだろうか。

 フローラは俺が魅了にかかったと思っているのか、急に胸を押し付けるように腕を絡めてきた。


 吐き気がした。


「勝手に腕を絡めないでいただきたい」


  「えっ?」


 俺はすぐに腕を離すと汚らわしく感じて思わず触られた腕を何度かはたいた。


「どういうこと?」


「私はこれで失礼する」


 そのままその場を去ると、後ろから他の令嬢にフローラがなじられる声がしていたが興味もない。


 これで王族に対して魅了を使った記録を魔石につけることができた。次は父親の方がどうでるか。

 魔石をそっとレイに渡し、兄上に届けさせた。


 俺が一人になると、公爵や侯爵などが見計らったように次々にお祝いをいいに来た。普段俺は夜会の歓談の席にはいないから珍しかったのもあるだろう。

 しばらくその状態が続き、だんだん喉が乾いたところで給仕がちょうど通りかかった。

 するとすかさず例の男爵がシャンパンを取り、俺に渡してきた。

 

「いかがですか?」


「ちょうど喉が乾いていた。ありがとう」


 受け取って一口飲むと、中に強い媚薬が入っているのがわかった。男爵は俺がわからないとでも思っているのだろうか。


 その場で近衛騎士を呼び、ニヤニヤしてこちらを見ていた男爵がだんだん真っ青になるのを眺めながらシャンパンとともに引き渡した。



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