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夜会当日、朝から私は動けなかった。まあ、昨夜にいろいろ致してしまったから仕方がないと思っていたら、隣でとろけるような顔をしているルークと目が合った。
「おはようございます、アリス」
「ルーク様おはようございます」
ルークは腕枕をしていた腕を曲げて私を引き寄せ、そのままぎゅっと抱き締めてキスをした。
「今日はいよいよ夜会ですね。体は大丈夫ですか?」
「う、動けないのわかってるのにルークのイジワルー」
「おや、やっと夜以外でもルークと呼んでくれましたね」
ルークはうれしそうに笑いながら私の腰をさすっている。
「んー……。ルーク様、私がルークと呼んでもほんとに怒られません?」
「私が良いと言ってるのに誰に怒られるのですか?」
「………お兄様…とか?」
「兄上も妃殿下からはクリスと呼ばれてますよ。ほら、ルークと言ってみてください」
「ルーク…?」
「今後ルーク様と呼んだらキスをその場でしますね」
ニッコリ笑うルーク。やっぱり若干ひきつる私。
がんばります!
そのあと腰がだるい私にルークはヒールを掛けてくれた。だるさがスーと引くのがありがたい。
夜会の準備と言っても午前から何をするのかと思っていたら意外と忙しかった。
エステをして湯あみをしたところで昼食になり、午後は着付けと化粧と髪で3時間も費やした。
「アリス様、これで終了です。とてもお綺麗です。今日は楽しんでいらしてくださいね」
マリンやエステチーム、その他侍女たちからも誉めらてかなり照れてしまった。
コンッコンッ
ノックとともにルークが入室してきたが、今日はマリンは何も言わなかった。
「アリス、あぁ、綺麗です。それに私の色のドレスを着てくださってありがとうございます」
そういうと私を抱き締めた。
すると、マリンたちはみんないつの間にか退室していなくなっていた。
ルークの衣装は私の衣装と対になっていて、ルークに似合っていてとてもカッコいい。
「ルーク、カッコいいです」
ルークの抱き締める力が少し緩んで顔を覗くと、ルークが珍しく真っ赤になっていた。
「ん?……ルークさ…ま……?」
「きれいすぎるアリスのせいです。それに今、様を付けましたね?」
と言うとすばやくキスをされた。
「アリス、ほんとに綺麗です。どこかに閉じ込めたいくらい」
「ふふっ、ルーク様もすごくカッコいいです。大好きで」
またキスをされた。
「アリスはわざとなのかな?」
クスクス笑うルークに少し赤くなる。ルークはルークの唇についた私の口紅を指で拭うと、拭った指にそっとキスをした。なんとも妖艶でいろっぽく見えて赤面してしまった。
「今日は私から離れないでくださいね。もし離れる場合は必ずカインをつけて下さい。
本当は魔力で私から1メートル以上離れられないようにしたいのですが、レイに反対されました。トイレに行きたくなったらどうするのだと。なので、何かあったときのために、これをつけて下さい」
と、指輪を渡された。
ん?待って待って…魔力で1メートル以上離れられないように?
「これは、この石に魔力を込めると私のこの指輪に繋がり私のところへ転移できます。いつでもいいです。不安なことがあればすぐに使ってください」
「わかりました。何かあったら魔力を込めたらいいのですね」
そう答えると強く抱き締められて
「必ずですよ。必ず私のところに来て下さいね」
いつも見ていただきありがとうございます。このお話の前世の話『俺は俺が一生許せない』もよろしくお願いします。
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