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夜会前日、ルークは念入りに打ち合わせをしているようで、朝から城に行ったまま夕方になった今も帰ってきていない。
私の方は朝から湯あみをし、エステ三昧である。頭から顔から体の至るところ、爪先までやってもらった。
あまりの気持ちよさに今回もすっかり夢の住人になったけれども、前世の夢は見たり見なかったりしている。
前世での最後は悲惨ではあったものの、日常ではゆっくりとリューンとの愛を育み穏やかな毎日を過ごしていた。そんな日常を見てるときは、私自身も穏やかにいられた。
前世の私は妊娠していたけれど、結局リューンには言えてない。今となっては言うつもりもない。
「アリス様ー、おわりましたよー!」
パチッと目を開けたものの、まだ頭のなかはまどろんでいた。
「夕食まで少しありますので横になられますか?」
「うん?そうする。ありがとう」
自室のベッドに横になり、1分もしないうちに眠りについた。
「アリス、夕食の時間ですよ。起きないとキスをしますよ」
ん?キス?
パチッと目が覚めると「ふふっ」と笑ったルークにキスをされた。それも濃厚なやつ。
「あ……ン……」
起きたのにキスしてるし。
いや、うれしいですけどね。
夕食を取りつつ、明日の話をルークとする。
「アリスは私から離れないこと」
口を酸っぱくして言われてる。何もなければ良いけれど…と少し沈んだ気持ちとともにうつむいてしまう。
「それ以外は楽しみましょうね」
顔をハッと上げるとルークが微笑んでいる。
「男爵の件で心配事はありますが、アリスとは初めての夜会です。楽しみでもあってほしいです」
「そうですね。せっかくの夜会です。綺麗にしてもらってルーク様と楽しく踊りたいです」
私の顔を見たルークはホッとしたような顔をして微笑んだ。
明日はいよいよ夜会ということもあり、早めに休みましょうと寝室に入ったのに…
「今日はエステがあったのですか?」
ベッドに2人で座っているとルークが私の背中をさすりながら聞く。
「明日は夜会があるためみんながエステをしてくれました」
「…………。誰のためですか?」
あ、これアカンやつ。
「あ、えーっと、る、ルーク様のため?」
「そうですよね」
と言われたと同時にベッドに押し倒された。私の頭の横に両腕をつくルーク。
「とびきりきれいなアリスを見るのは私が最初がいい。それとも他の誰かに見せたいですか?」
「み、見せたくないです」
ニッコリ笑うルーク。若干ひきつる私。
いつだって簡単に捕まってしまうのは、私もそう望むから。それなら私からルークを欲しがってもいいだろうか?
私は人生で初めて自分からルークの首に腕を回し、キスをした。
ルークのとろける顔を見たら正解だと思えた。
いちゃいちゃした本編の後になんですが…
『俺は俺が一生許せない』読んでいただきありがとうございました。
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