3
その後、マリンに食堂に連れられるとルークが待っていた。部屋は二十畳ぐらいありそうなくらい広く、テーブルも椅子も一目で高価だと分かるもので、ドキドキしながら部屋の中に入っていった。
「お連れしました」
と、マリンは告げると部屋を出ていってしまった。
ニコニコイケメン……うわあ……気まずい……
「アリス、質問の前に食事にしましょうね。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
ルークはルークの向かいの席の椅子を引くと座らせてくれ、自身は自分の席につくと、時をたたずしてマリンと共に三人の侍女が食事を用意しだした。
サラダに温かいクリームスープ、柔らかいパン。
「まだ熱が下がったばかりですから無理はしないでくださいね」
向かいに座るルークは顔もイケメンだけど、食べる姿もイケメンだった。ひとつひとつの動きが優雅でかっこいい。
しばらく食事を取っていなかったらしく、胃が受け付けないかと思ったが、用意された半分ぐらいは食べられた。見た目よりあっさりしていて食べやすかったからかもしれない。おそらく、私の体調に合わせて用意してくれたのだろう。ルークにはこれらに加えて魚料理が追加されてたが、足りるのだろうか。
ルークは食後の紅茶を飲みつつ、ニコッと笑った。
「さて、何からお話ししましょうかね」
ルークからの話は要約するとこうだった。
ここはアルト王国という国で、アリスはルークにより、異世界から召喚されてきたこと。これは夢ではないこと。
アリスは十日ほど熱で寝込んでいたこと。原因は魔力が体に馴染んでいなかったからで、今は安定していること。魔力が完全に安定するまで何度か繰り返し発熱があるかもしれないこと。
この世界は魔法というものがあり、アリスも召喚により魔力が備わったこと。
ルークは王弟で、今回の召喚はルークのためになされたこと。
こちらの世界での生活は保障すること。また、先ほどまでいた部屋を私室として使っていいこと。
さらに質問は続く。
「元の世界に戻ることは?」
「すまないが、それはできない」
元の世界で未練のある日常を送っていたわけではないけれど、もう戻れないとなると少し来るものがあった。
「なぜ、私だったのですか?」
「それは私の魂との結び付きがあるからです」
え? 魂??
ルークの魂とアリスの魂は生まれ変わる度にいつも同じところで産まれ、惹かれ、繋がっていたのに、今回は異世界だったため、呼び寄せるまでに時間がかかったと謝られたが、さっぱり分からない。
なんのこと??
「今は分からなくても、いつか思い出す日がきますよ」
ルークはふふふっと微笑みながら言うが、私は困惑していた。
「だいぶ時間が経ちましたね。病み上がりですから、また続きは明日話しましょう」
と言うと、ルークは私を抱き抱えた。やっぱりいい匂いがする。ではなくて、
「私、歩けます…」
降りようとするが、ルークの力は強くびくともしない。結局、降りるのを諦め、部屋に戻るまで横抱きにされた。横抱きにされながら額にキスをされ、私の羞恥心の限界を振りきっていた。