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「ルーク様、元気になったらデートしましょう」
「デート…ですか?」
「リンに言ってくださったデートをしましょう」
ルークは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに微笑んで「もちろん」と頷いてくれた。
「アリス、アレクを呼びますね」
というと鈴を鳴らしたら、すぐにアレクがきてくれた。
「気がついたのかい。では診察させてもらうよ」
いつものように、瞳孔や脈などを見たあとは頭から手をかざしていった。
「熱はまだ高いから今のうちにスープでも飲んで、また休みましょう。魔力は安定してます。スープは今から用意するよう伝えてきますね」
アレクはルークに伝えると退室していった。
ルークはベッドサイドに座り、私の頭を何度も撫でた。
「ルーク様、私、今まで思い出せなくてごめんなさい。あなたを置いていってしまってごめんなさい。」
「いや、アリスありがとう。あなたが今、生きていてくれるだけで、私と生きていてくれるだけで十分です」
私の目を見て微笑むルークの目が弱々しく見えた。
「実は私はあなたが思い出すとは思ってなかったのです。前世のあなたはその前を思い出してなくても、私を愛してくれました…。
前世では幸せなこともたくさんありましたが、悲しいこともありましたので…。悲しいことは思い出してほしくないなと思ってました」
「それでも……ごめんなさい…」
「私の方こそ前世では助けられなくて…。私は後悔してもしきれないことをしたんです。今度こそ、アリスを守ります。ぜったいに!」
「ありがとう…ございます」
「アリス、愛してます。ずっと」
「ルーク様、私も愛してます。ずっと」
ルークは目を真っ赤にしながらも、微笑んでキスをし、私を抱き締めた。なんだか涙が止まらなくなって、マリンがスープを持ってきてくれるまでルークにしがみついていた。
「アリス様、少しでもいいのでお食べくださいね。ではルーク様、よろしくお願いします。何かありましたらお呼びください」
スープと果物を用意したマリンは一礼して退室していった。
「アリス、飲めそうですか?あーん」
こくっこくっ
「うん……も、いらない」
結局2口飲んでそのまま横になり私は眠ってしまった。
撫でてもらっている頭が心地よかった。
* * *
それからたまに起きては着替えさせてもらったり、水分をとらせてもらったりした。
前世の夢をずっと見ていたせいか、起きたときに混乱することもあったが、ルークがそのほとんどの対応をしていた。
そしてさらに3日後、やっと熱が下がった。
「こっちに来てから熱ばかり出してるなあ。今まで風邪も引いたことなかったのに」
「仕方ないですよ。これから少しずつ体力付けましょうね。今日はまだお部屋から出られませんから、なにかあればお呼びくださいね」
マリンが部屋を退室し、一人になると自然と涙が出た。前世での自分の死を引きずっていた。
6日間、寝ている間、前世の夢をずっと見ていた。そこでふと気がついた。リューンは私が死んだあとどうしていたのだろう。
自分が死ぬ前まで、断片的にしか夢を見ていない。人生の全部を見たわけではなかったけれど、死んだあとのことが気になって仕方がなかった。
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