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午前はひたすら保護魔法とヒールを掛けてたような気がする。

お屋敷中を歩いて、人を見つけては掛けさせてもらった。マリンに感想を聞いてもらうと、喜んでいたようでよかった。


午後は伯爵位、子爵位の資料をペラペラ見ているが、5日やってもなかなか頭に入らず…。

あまりにも多過ぎて全部覚えるのは諦めた。高校でやった世界史よりも当たり前だけど人数が多い。マルクス・アウレリウス・アントニヌスを呪文のごとく覚えた頃が懐かしい。


だらだらと覚えてるようで覚えてない態度に、カインは気分転換をしましょうとお屋敷の料理人のハリーを連れてきた。

召喚前はそれなりに料理やお菓子作りをしていたのを話したことがあるからか、簡単なお菓子作りでも…と思ってのことらしい。

それならばと、大好きなクレープを作ることにした。

ハリーに小麦粉や生クリーム、卵、牛乳の確認をし、いろいろな果物も持ってきてもらった。

厳密には同じようなものであり、同じもの…ではないから、出来上がりが不安ではある。


小麦粉、卵、牛乳、砂糖…みたいなものを混ぜ生地を作り、一枚焼いてみて食べてみた。


「うん、なんとなく大丈夫そう」


残りの生地を全部焼くとかなりの枚数ができた。その間にクリームでホイップを作ってもらった。ホイップはおやつで何度も見かけたから味は大丈夫!

ハリーに巻き方を教えて、カットした果物やホイップを入れて、どんどんクレープを仕上げていった。


出来たものはルークたちの分を除いてそばにいた人に配り、生地が温かいうちに食べてもらった。


ハリーからは作り方を覚えたからメニューに加えたいと申し出があったので、好きに使ってほしいと了承した。


クレープを紙に包み、マリンと共にルークの執務室を訪れた。ノックをして声を掛けるとレイが部屋に入れてくれた。


「アリス、どうしたのですか?」


すぐにルークがそばに来て私の腰を抱き寄せ頬にキスをした。


「お菓子を作ったのでみなさんに持ってきました。お口に合うといいのですが…。」


「えっ…アリスが作ったのですか?」


「ハリーにも手伝ってもらいました。ルーク様には少し甘いかもしれません」


「大丈夫ですよ。それではお茶にしよう」


レイが私やマリンの分の紅茶まで入れてくれて、一緒にお茶をすることになった。ルークもレイもライトもおいしいおいしいと言って食べてくれた。

こんなに喜んでくれるならまた何か作れたらと思いつつ、お茶も飲み干したし、仕事の邪魔になるのでおいとましようとルークから降りようとすると、ルークに腰をつかまれた。


「少しお待ちください。お伝えしたいことがありますので。」


本当はルークの膝の上が恥ずかしくて早く戻りたかったのがバレたのかしら。

ルークが合図を出すと、マリンがカップを片付け、そのままレイたちと部屋を退室していった。


「夜会の日程が決まりました。3週間後になります。そのときになんらかの発表をします。兄上と協議中ですので、内容は少々お待ちくださいね」


「分かりました。それまでにダンスのレッスンがんばりますね」


ニコッと笑うとぎゅうぎゅう抱き締められたが、ちょっと痛い。



「ほんとは夜会なんて行きたくないんです。アリスを夜会で紹介せずに、ずっとここに、私の中に閉じ込めていたい。わざわざ私のアリスを紹介するなんて危険も増えるのにゾッとする。

見せたくない。私だけが見ていたい…。

アリス、夜会では私から絶対に離れてはいけませんよ。私以外に笑い掛けなくていいですよ。私だけがあなたの笑顔を知っていればいい。」


「ルーク様……。

私はあなたがいればそれだけでいいと思ってます。だから…ルーク様がいなくなったら、きっと私は生きていけない。ルーク様と会えないときはいつも不安になってしまいます。

ルーク様、夜会では私を離さないでくださいね」


「もちろん離しませんよ。私もアリスさえいればいいと思ってますから。アリスがそう思ってくれてほんとにうれしいです。

そうそう、夜会にはレイやカインも護衛として一緒に入ります」


と、ルークの話を聞いているうちに急に意識を保てなくなって、そのまま意識を失った。


「えっ、あ、アリス?アリス!!」


遠くにルークの声を聞きながら、私はテレビが切り替わるように夢を見た。

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