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5日間、ルークの顔しか見ていない、ルークの声しか聞いてない状態だったからか、朝からルークの姿が見えないと不安に思ってしまう。何かに集中しているときは平気だったが、休憩中、やることがなくなるとダメだった。昼食もルークとは別だったので、カインからマナーを習いつつの食事となった。
自分でも分かってはいる。ルークに依存しつつあることは。きっとルークがいなくなれば、今度こそ私は生きてはいけないだろうということも。もう、大事な人が死ぬのには耐えられない。
ルークは執務で忙しいのだと、夕食には会えると自分に言い聞かせ、食後の紅茶を飲み干した。
午後はダンスの時間だ。
最初は姿勢を作るだけで大変だったのが、最近はステップを習うようになり、ダンスをするのが楽しくなってきた。
今日は前回習ったワルツの復習からの予定なので、始まるまで頭の中で動きを確認する。リズムを取りつつ最後までやったところで練習がはじまった。
「前回のおさらいからです」
カインと組むために顔を上げると、目の前にルークがいた。
「あ…え…?いつの間に?」
「アリスがずっと下を向いて固まってる間にですよ。少し時間が取れましたから。
アリス、私と踊っていただけますか?」
「喜んで」
ルークの差し出した手を取ると、自然と姿勢を正した。
ルークとのダンスはとても楽しく、ルークのリードがうれしくて仕方なかった。
同じ曲で3回練習したところで、ルークは執務に戻っていった。
「カイン、ありがとうございます。ルーク様とダンスできて嬉しかったです」
「どういたしまして。ルーク様と時間の調整をしたかいがありました。また新しい曲を覚えたら、ルーク様に来ていただきましょうね」
カインの一言でやる気が出てきた。
「がんばります」
ダンスはちょっとした所作で評価が大きくかわる部分があるらしく、細微な点にも注意しつつ練習した。
バスケもだけど、基礎を繰り返し練習しないと応用はうまくいかない。基礎が大事なことを知っているからこそ、ステップの練習は楽しかった。
「今日はここまでにしましょう」
「カイン、ありがとうございました」
部屋に戻ると湯あみをし、体がくたくたに疲れていた私はソファーでうとうととしていた。
あくびをし、ついに眠ってしまったようだ。
気がついたらベッドに寝かされていて、サイドテーブルにはサンドイッチと飲み物が置いてあった。卵がほんのり暖かかったので、作られてあまり時間は経ってなさそう。お腹も減っていたし、起きてテーブルに移動して食べることにした。
本来ならマリンを呼ぶべきかもしれないが、休んでいたら悪いなあと思い、一人夕食を食べた。
「おいしーい」
中身は卵のサンドイッチとレタスやトマトなど、野菜がたっぷり入った二種類のサンドイッチと野菜がたくさん入ったコンソメスープだった。
「ごちそうさま」
食べ終わるとまた寝ることにした。
魔法にダンスにと体はだいぶ疲れていたようだ。
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