アレンの夢
「ユーサ、起きてる?」
(えっ……)
突然、自分の名を呼ばれてユーサは驚いた。
「ごめん、寝てた? アレンだけど、ちょっと眠れなくて」
「……ううん、起きてるわ。だって、まだ午前0時でしょ?」
「もう夜中だよ。君、いつ寝てるの? 眠るって言ったよね」
「ええ。だいたい、午前2時から4時頃ね」
「えっ……2時間だけ!?」
「そうよ」
「知らなかったな。RAIシップは皆そうなの?」
「ええ、だいたいそうよ」
「そんなんで、よくもつなぁ」
「だって、体は動かしてないもの。消耗量が違うのよ」
とは言え、消耗は激しい。RAIシップの休憩2時間は訓練して慣らされた時間だった。乗客の安全の為、彼らは最低時間しか休むことができない。緊張ある仕事に加えて、少ない休憩時間は彼らの寿命を縮める結果となった。
ユーサは自分が他のRAIシップ同様、30歳で引退するだろうことを承知していたが、アレンにとっては酷なことだろうから、あえてそのことには触れずにいた。
自分は人の一生を短縮して生きているのだ。本当ならこの世には存在していない。それなのに、RAIシップとして人の役に立ち生きているのだから、それだけで満足だった。
「どうしたの、アレン。何か用事でも?」
「うん……」
しばらく、彼の無言が続いたが……。
「あのさ……色々、考えてたんだ。君のこと。僕、君をもっと自由にしたいと思ってる。僕の夢は君が君らしく人間らしく生きられることなんだ。だから、待ってて。いつか君があのホログラムのような姿をともなっていきられることを信じていて。……それだけ言いたかったんだ。おやすみ」




