残留者
「ユーサ、今、軍から連絡があった。僕とロッド以外にあと1人、この船に取り残されてる乗客がいるんだ。どこにいるか探して、できればロッドの所まで誘導してやって。……ユーサ?」
「ごめんなさい、エド。照明を落とされてしまって。赤外線で見てみるわ」
「生命体感知はできないのか」
「シールドされてるの。船内地図を表示できないの。でも、大丈夫よ。……エド、どうだった?」
「えっ? ああ、扉? 意外と頑丈だね。ビクともしないよ。少々手間がかかるが、起爆装置を作ってみる」
「そう……」
「ユーサ、さっきから……」
「何?」
「いや、何でもない。 ロッドにつないでくれる?」
「ええ」
*
「ユーサ!」
視聴覚は何の反応も示さなかった。
(真っ暗で何も見えないや……)
アレンは手探りで進んだ。
(こっちの方角は確か、2階フロア……。なぜシャッターが下りてるんだろう? 点検のため? しょうがない、ロッド叔父さんのところに戻るか)
*
「ロッド、乗客が1人まだ船内に残っているらしい。今、ユーサに探してもらってるが……。 何か変わった事はないか?」
「奴らから接触があった。航路を指示してきた。エドワード、俺たちが人質だよ」
「それでか。さっきから船内温度が下がってる。脅しをかけてきたか。それで、返事は?」
「まだだ」
「奴らにユーサの事は?」
「まだ知らないんだろう。知ってたら、ユーサを人質にするはずだ」
「そうか……。 奴らに感づかれないようにしないと、 この船がRAIシップだってこと」
「エドワード」
「何だい、ロッド?」
「俺は政府を信用してない。敵をみすみす逃すくらいだったら、政府は俺たちもろとも殺す気でいるんじゃないのか」
「……」
「どうするつもりなんだ?」




