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恋する船  作者: ともるん
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ロッドの回想③

 パイロットとなった俺は、何度かRAIシップのナビゲーターを経験した。


 その度に、冷たくて重い鉛が心の奥底を塞いだ。 


 RAIシップとはあまり深く付き合おうとはしなかった。


 過去の記憶を思い出させることになるから。


 それなのになぜ、俺はユーサからの申し出を受けたのだろう?


 彼女はより、妹を彷彿とさせる。


 ……俺は……許されたいのか……。


 


 妹の夢をよく見る。


 「マリア!」


 名を呼び、俺は嬉しさのあまり、駆け寄ろうとする。


 だが、マリアは冷たい表情で立ち去ろうとする。


「マリア!」


 もう一度叫ぶ。


 振り返った彼女の目は怒りに満ちていた。


 俺は凍てついたように立ちすくむ。


 そして、泣くのだ。

 怒りに身をまかせ、泣くのだ。


 「どうして、助けてくれなかったの?」


 俺は、妹を抱きしめる。

 その、怒りと悲しみを。


 どうすることもできない……。



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