ロッド
「ロッド、まだ起きてたの?」
ユーサは、船客の女性との会話の後、操縦室にいる相棒の姿を認めた。
「コールがあっただろう」
「あなたに気付かれないよう、音は消してあったハズだけど」
ロッドはイスにくつろいだ雰囲気で座っていた。昼間の彼とは違う。
「起きてたから、点灯に気付いた。ユーサ、君はあまり気を遣いすぎだ。他の者にできることなら君がわざわざ出て行かなくていい」
「わかってるわ、ロッド。でも、たまたま起きてたから私……」
「君はちゃんと眠ってるのか」
「ええ」
「最低限の睡眠時間か……」
「ロッド……?」
ロッドにはわかっていた。
その短い睡眠時間、過酷な労働(精神的にも)が、彼らRAIシップの寿命を縮める要因であることが。
「君たちは強いな……」
ぽつりと言ったロッドらしからぬ言葉にユーサは何か感じた。
「ロッド、どうかしたの? エドが何か言ってきたの?」
ロッドは少し機嫌を悪くした様子で、「何とも言ってない。アイツ何してんだろうな」と不平を漏らした。
ユーサはクスクス笑った。
ユーサの笑い声で、再びロッドに優しい表情が戻った。
「ユーサ、これだけは言っとく。君はRAIシップだ。人々の生命を預かってる。だから、その生命を守るためにも、自分自身を守れ。無理するな」
「……ロッド……」
「それだけだ。おやすみ」
そうして、ロッドは操縦室を後にした。
ユーサはロッドの優しさに触れ、嬉しくなった。
ロッドも、違う形で彼女をあたたかく見守っているのだ。