0歳
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生後0日
なにかあったかいものが出た。
数時間の陣痛を耐え、助産師に励まされ、小さな声を聞いた感想だった。助産師が赤ちゃんをキレイに拭いて連れて来てくれた。胸の上に優しくおいて赤ちゃんを見ると頭に血が少しこびりついていて、どこもかしこも小さい。カエルとサルを足し二で割ったような顔だが、ただただ可愛い。
『さっ寒い!痛い何これ⁈』
やりきった達成感と疲労でぼんやりしていると声が響いた。
うちの子ちょっと変わってる。
生後10日
産院を出てあーちゃんと暮らし始めた。
自宅に帰ってあーちゃんといると、お母さんになったんだなぁと実感する。
そしてあーちゃんは手のかからない赤ちゃんである。ちょっと抱っこしたらすぐ寝てくれるし、お布団に寝かせてもそのまま寝る。おっぱいもいっぱい飲んでくれる。
お母さんは生後一週間にして親馬鹿になってるよ。
今もあーちゃんは私の腕の中でうとうとしている。
『どうしたんだ?やたら眠いし、お腹へるし。ああまた眠い』
声が響いたあとすぐ寝たあーちゃんである。
生後2カ月
最近あーちゃんはキョロキョロしている。まだまだ寝がえりとかはできないので一生懸命目を動かす。必死で可愛い。
「あーちゃん何見てるの?」
赤ちゃんにはたくさん話しかけるといいらしい。育児書に書いてあった。
『なんて言ってるんだろう?“あーちゃん”が名前ってのはわかるんだけど…よし!頑張って覚えるぞ!目指せチート!』
うちの子、天才だ!お母さんも協力するからね!
早速あーちゃんのために用意しておいた絵本を読む。じーっと見てくるあーちゃんが可愛すぎて30回くらい絵本を繰り返し読んだらあーちゃんは寝ていた。
生後7カ月
あーちゃんはわたしの厳しい首上げ訓練に耐え、遂に寝がえりを成功させた。私はもちろん動画撮影機を用意してあーちゃんの輝かしい成果を動画でおさえた。あーちゃんは私にドヤ顔を見せてくれる。
『美人なお母さん、あーちゃんはやりましたよ!』
そしてあーちゃんは私を美人なお母さんと呼んでくれる。
『うお!髪が水色!目も緑!なんと異世界…クール系美人に巨乳装備だと。そこはちっぱいが…いやこれもよし!』多分褒めてるけどなに言ってるのかよくわからない。
おっぱいの時も
『美人の巨乳。なんて尊いものを…赤子万歳!』
と声が響く。あーちゃんに褒められてお母さんは嬉しいです。
その後あーちゃんは頭を支えきれなくなり、額を床にぶつけて泣いていた。
うちの子かなり可愛い。
生後10カ月
寝がえりを覚えたあーちゃんはその後凄まじかった。おすわりができるようになり、ハイハイまで習得したのだ。家事をする私のあとをついて来て、興味のあるものの前でどっこいしょとおすわりをする姿は写真を何枚撮ってた飽きない。可愛い。
姿見の前で自分を見て
『ナニコレ!金髪!色黒!目紫!前世要素なし!でもおかあさん要素もなし!クール系美人の遺伝子どこいった』
と凹んでいた。可愛いのに。
『これ掃除機?床だけでなく、壁天井までも掃除するだって⁈どんだけ高性能だよ!』
今日はうちにある型落ち掃除機を見て驚いている。あーちゃん最新の掃除機は、部屋に馴染んで見えなくなってお風呂まで掃除してくれるんだよ。お母さんは是非欲しいです。
『これじゃあ知識チートとか内政チートとかは無理そう。魔法とかないかなぁ…』
あーちゃんの声があんまりしょんぼりしているので声を私はあーちゃんに声が響かせた。
『あーちゃん!魔法あるよ!』
あーちゃんは赤ちゃんにはビックリな速さで私を見た。
『なっ!今のお母さんの声⁈』
『あーちゃん大丈夫。魔法あるからねー、ほら見ててごらん』
私は久しぶり文言を唱える。
「鋼雪掌小」
手のひらに氷が出来る。あーちゃんは目玉が飛び出しそうなくらい、目を開けていた。
「ほーらてってでもってごらん。つめたいよ」
文言で作った氷は表面がサラサラしていて、触っても溶けない。氷であって氷でないらしい。魔法学者なら上手く説明できるだろうが、ややこしいし面倒である。
『声?なんでこれ響いてるの?』
『母子感応だよ。生後1年くらい繋がってるんだって』
育児書によるとお腹すいたとか楽しいといった感情がぼんやりわかるものらしい。あーちゃんはすごいので考えていることがはっきりわかる。でも基本あーちゃんからの一方通行。自我がはっきりしない乳幼児に声をガンガン響かせると、うまく自己形成ができなくなり危険だからだ。でもあーちゃんは天才だから大丈夫だろうと励ましてみたよ!
『えっ、繋がっているってどういうこと…』
『あーちゃんの考えてることが筒抜けってことだよ』
教えてあげたらあーちゃんは手足を突っ張って盛大に泣いた。
『うわー母親に知られたくない事ばっか考えてるよ!お母さん今までのこと忘れて!なかったことにして!』
『大丈夫。あーちゃんはお母さんのこと美人とか褒めてくれたし。他もオレツエェェ!とか、オレノヨメとかくらいだよ。意味わからなかったし大丈夫』
『わーすーれーてー!』
その後あーちゃんは1時間泣き続けました。
ごめんねあーちゃん。
生後1年
今日はあーちゃんの1歳の誕生日。あーちゃん用のケーキを用意してお祝い。
あーちゃんはすくすく大きくなってもうよちよち歩きもできるし、お母さんのことを「おかー」と言えるようになった。うちの子天才である。
そしてあーちゃんギャン泣き事件からあーちゃんは魔法の練習も始めた。一を聞いて十を知る、すごい勢いでたくさんのことを学んでいる。
母子感応もきれてしまったのでちょっと寂しい。
「おかーまんまうまー」
でもあーちゃんのおしゃべりかわいい。
「あーあ、あーちゃんも1歳かぁ。早いなあ。そろそろ貯金も少なくなったし仕事探さないとなあ」
「ぶー!おか?なー!」
あーちゃんの口からケーキが飛び出した!
「だってあーちゃんお母さんが働かないとご飯食べられないのよ」
あーちゃんはテーブルをバンバン叩く。小さい手がかわいい。
「ちーなー!」
「だってお母さんまだ独身だもん。旦那さんいないんだよ」
あれ?あーちゃんに言ってなかったっけ。
あーちゃんはしばらく机に突っ伏していたけど、まだケーキを食べ始めた。
うちの子ちょっと変わってる。
育児情報誌「ここからはじめよう!ココハハ!春号」
特集・母子感応ってナニ⁈
お腹に赤ちゃんがいる皆さん母子感応を知ってる?お母さんと赤ちゃんをつなぐ大切な物なので詳しくなろう!
母子感応とは
胎児の頃から生後1年くらい続く感応状態のこと!はっきりと理由はわかっていないけど胎盤でお母さんと赤ちゃんが繋がっているため感応状態になるのが有力な説!
赤ちゃんは自我や喜怒哀楽がまだはっきりしていないからオムツが濡れたとき嫌な気分だったり、ご飯を食べたら満足♪くらいがぼんやりわかるんだ!大人同士の感応みたいにはっきりとはわからないよ。個人差も大きくてほとんどわからない赤ちゃんもいるよ。
母子感応の注意
赤ちゃんの感情が伝わってとても良いものだけど、危ないこともあるから気をつけてね!!
文言を使って感応しちゃダメ!
自我が育たないうちに声を響かせると成長に悪影響がでるんだ。