6話 噂は1人知ると10人に知られるのは本当
モチベは大事!
御梅の乱入により、面倒事が増えそうな予感がしていた。
御梅は「酷~い! 学校で言いふらしてやるぞ~!」と言ってる。セナは「止めてくれ……ただでさえ、あいつらのあおりで迷惑してるのに」と頭を抱えていた。
実はセナは、意外とモテてる。色々女子生徒から告白を受けたりしてる……が、特に好きでも無いという理由で断っていた。
「それなら、何なんだい~? この綺麗で完璧そうな外国人女性は~!」
「えっとな……」
「あ、ニナからだ~。どうしたんだろう?」
御梅が突然メールが来たと言い出して……「え? これはスクープじゃないか~!」と叫びだした。
そうすると、こちらを覗き込んできて……。
「これが、ゼノ君!? 全然見分け付かないだけど~!」
「なっ……!?」
「ニナのメールに書いてあったんですか?」
御梅は「そうだよ~、うわぁ~声まで女の子だ。あ、でも噂するなって条件か……」と少ししょんぼりしていた。セナは「あのバカ!」と言ってる。
意外と根回し良いなあいつ。てか……メールどうやって送ってるんだよ。
そんな事考えていると、ニナからメールが届いた。
『件名:任意のプレイヤーに送れる
右クリしたら、送れたから条件と共に教えておいた。
追記
沙月と友達だから、好奇心に負けなければ秘密にしてくれるよ←重要』
好奇心に負けなければかよ。ある意味かけだな……しょんぼりしてたし、今の内は問題ないか。
それにしても、御梅はどうしてこのゲームやってるんだ? 何か、新しい面白そうなゲーム出たから! とかの理由だろうか。
「御梅は、なんでこんな所に居るんだ?」
「それは私も気になってた」
「ゼノ君……じゃなかったね~。ハルさんはなんとなく分かるでしょ~?」
知るか。いや、さっきので合ってるなら別だが。そしてセナを完璧に無視してる。
セナも「こりゃダメだ、聞いちゃいねぇ……」と呟いていた。俺は「面白そうだから?」と言うと。
「正解~! 分かってくれると信じてたよ! 今度、新聞部においでよ!」
「お断りします」
「残念~。あ、それと……口調変えてるのは、何で?」
俺は「こだわり」と答えといた。御梅は「なるほどね~、確かにこの顔で俺とか言われたら……引く」とか言ってる。
今一瞬、本気の顔だったぞ……。それはそれとして、だ。
「そろそろ何かしないと、時間が勿体無いですね」
「そうだね~、私も色々やりたいから付いていくよ」
「俺のことは……まぁいいか」
セナは、2人で歩き出した俺達に付いてきているようだ。後ろから小さく「女同士に付いていける訳ねぇよ」と言ってる。
言っておくが、セナ。俺、昨日まで男だったんだぞ?
「という事で何処行くの?」
「ギルド?」
「お前ら方向逆だぞ」
セナが、口を挟んでくる。よく見ると最初に居た、温泉の館がある。本当に逆方向だったぽい。
と言う事で、セナに案内され歩いて行く。そして、何故か俺、セナ、御梅と横に並んだ。
「いや~、セナ君も両手に花だね~」
「お前ら……俺を晒し者にする気か?」
「まぁ……私は特に問題無いですけど」
セナは「お前が一番目立ってるんだがな」と御梅も「ハルさんが一番目立ってるね」と言ってる。
そうだったね! 日本人って基本、茶髪か黒髪だからね! そりゃ金髪のスタイル抜群の女性が居たら見られるわ! ……なんか言ってて悲しくなった。
通行人のプレイヤーもこちらをチラチラ見てるし。
『件名:ひゅ~ひゅ~
人気者じゃない~、沙月がバラさなくてもその内バレそうだね
チャットに流れてるけど、大体外国人? とかモデル? みたいな事だよ~
追記
洗濯物干してくる~』
何故、そこしか思いつかんのだ。いや、俺も初めて見たら……絶対、その感想になるが。
なんだかんだでメール楽しんでるな、あいつ。確かに、2人ダイブして……1人だけだと寂しいしな。
ギルドだと思われる場所は、賑わっていた。離れて見てみると……。
城か? 何の城だか分からないんだが……。御梅が興奮しているので、分かって聞いてみる。
「知ってるの?」
「こ、これは……首里城だよ! 完璧再現! 集会場だと言われたりしてるしピッタシだよ!」
うん、歴史はよぅ分からん……。
中に入っていくと、フィールドの様な透明な壁があちらこちらと見えた。セナは「なんだろうな、これ」と言ってる。俺も「さぁ?」としか言うしかない。
御梅は、未だに興奮が収まらないのか動きまくってる……あ、透明な壁にぶつかった。
セナが、ぶつかってしょんぼりしてる御梅の襟を掴み中に入っていく。その様子に周りの人達も苦笑いだ。
横長いテーブルに5人の受付だろうか、居た。服装は着物と凝ってる。
上を見上げたのか御梅の目はキラキラしていた。それを俺は気にしない事にして、一番左の受付に話しかける。
「本日はどんなご用件で?」
「職業について説明を、お願いしてもらってもいいですか?」
「すみません、生産職ですか? 採取職ですか? 戦闘職ですか?」
俺は「えっと……戦闘職は?」と聞くと、受付は「戦闘職の案内は真ん中にお願いします」と言った。
人が多すぎて見なかった……人混みの位置、真ん中を見た。そこには、プレイヤーが群がり……もみくちゃになっていた。正直、一番見たくなかったな。
セナは「生産職は?」と聞くと「一番右の受付にお願いします」と答えた。
俺は「採取職は?」と聞く。すると「私がご案内しています」と答えた。
完璧にNPCだな。ちなみに、御梅は「私は絶対、戦闘職!」と言って……あの人混みに消えていった。どうせ、ギュウギュウ詰めにされて出てくるだろ。
「職業の変更はできますか?」
「可能ですが、1日に1回のみとなります……ただし、採取職のみ制限無しとなります」
最高じゃないか! でも、採取職……地味だな。いや、生産も地味なんだけど。
という事で、それぞれ職業を決めていこうと思う。
俺達の服装は全員、入る時の格好だ。変わってるのもいるが、装備じゃないか?
のんびり決めて行こうか。御梅が倒れてる……ありゃ~潰されたな。
次は、11月15日までに更新します
色々な物出していこうと思うけど、どういう風に出すか悩み中