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利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
最終章 ルールさえ守ってれば楽しみ方は自由
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40話 行き慣れた場所でも緊張はする

くっ……改稿案件が溜まっていく。

今回も時間かかりました、すみせんでした!(声大)


多分あら探ししたらそこら中に……。

 ニナの気持ちの整理が付くと良いな、と思いながらも時間は過ぎた。


 学校が始まる前の日だと実感したのは、制服が届いてからだ。

 母親やニナ達に囲まれ、脱衣所で半端無理やりに着させられたが、どうも落ち着かない。

 制服のデザインが気に入らないんじゃ無い、着ているのが違和感があるんだ。


「ほら、ハル。そわそわしないで」


 俺の着替えを楽しんでるニナは普段通りに見えた。

 少し無理しているのではないかと、不安に思ってしまう。

 柄でも無いが、こういう事は母親に相談した方がいいか、など考えていた。


「こっち見てないで1人で着れる様にしなさい」


「体育とかの時に毎回手伝ってられないんだよ」


「わかったから」


 別に着れない訳じゃ無い、と心の中で突っ込みつつ、慣れない手つきで制服に着替えたり、脱いだり。

 何故こんな事になったのか……いや、自分じゃ何も出来ないからだと思うが。

 私服もそうだが、女物の服を自分から着るっていうのは抵抗がある。

 脱衣所にある鏡で自分の姿を見つつ、着方を教わっていく。


「当日は流石に別登校になるよな」


「なんか同じクラスになるとか、先生が洩らしてたよ」


「そんな情報……いや、あの人ならありえるか」


 変な抵抗の気持ちを悟られない様に偶然思った事を口にすると、謎の情報が得られた。

 あの先生がクラスの担任になるなら、知ってておかしくはないな。

 というより、先生方が面倒な奴を1箇所に集めるのを故意にやってそうだが。


「それよりも、私達と一緒だからって素を出さないでね」


 ニナが母親みたいになってきた、親の影響だろうか。

 もちろん猫を被るという意味で、元からそのつもりである。

 生活もそうだが、女性として行動するのに不安があるのは確かだ。

 そんな1人でどうしようも無いことを考えていると、ニナが口を開く。


「でもハルは嘘すぐバレるし、それっぽく見えればいいんじゃない?」


「そんなにバレやすいとは思っていないんだが……」


「あんたは、自覚無いから困るのよね」


 見知ったように言うニナに反論するが、母親の追撃もあって黙るしかない。

 なるようになれ、とは思ってはいるが……それがバレバレなのか。

 喋りながら制服に着替えると、鏡の前で自分の姿を確認する。

 黒い制服のせいか、金髪が目立ち瞳の色もあって他の人より浮きそうな予感がすると思った。


「背丈はともかく、見た目のせいで絶対浮くな」


「綺麗だからいいんじゃないかな? 私が一目見たら綺麗な外国人って思うよ?」


 褒めてくれているのだろうが……いやこの姿になった以上、嬉しい事なのか?

 ニナの褒め言葉になんとも言えない感情をいだきつつ、自分の髪を撫でてみた。


 制服への着替えが終わって、母親も満足したのか今度は俺達を見てどうせならと提案を出してきた。


「外に昼食食べに行きましょうか、少しでも他の人に見られるの慣れたほうがいいでしょ?」


「やった~! カナさんの奢り~」


 この母親はなんでもお見通しか? 確かに、ジロジロ見られるのは慣れてないが……。

 そんな事を思いつつ、制服から私服に着替えて出かける準備をする。

 ん? そういえば、母親は今日休みだったか? 別に両親のスケジュール知ってるわけじゃないが、平日だろう。


「仕事いいのか?」


「何言ってるの、あんたの事が心配で仕事に集中できやしないわ」


 これは何回も思った事だが、何故こんなに気にしてくれる。

 最初はただテンション高いだけで、その内放任すると思っていたんだが。

 今までの事を知っているせいか、疑問で立ち止まって首をかしげた。


「馬鹿の事考えてないで、行くわよ」


 ニナにも手を引かれ、母親の車に乗り込む。


 移動中、ニナに聞いてみることにした。

 どうせ隠したって聞こえるだろうし、普通に聞くか。


「最近俺に優しくしすぎじゃないか? 気のせいだったら構わないんだが」


「直接聞けばいいのに、でもそれは私も思ったかも」


 後部座席から母親の様子を見るが、返答はなかった。

 ニナと不思議がるが、本人の返答が無いため、別の話題を出して雑談することにした。



 夕方になったその日の帰り、母親はニナを家に送って俺と共に家へ帰ってきた。

 何故かリビングで俺に話があるとか言ってきた。


「今ではどうでもいいことだけど、昔娘が欲しかったのよ」


「それは前にも聞いた、急にどうしたんだ?」


「それだけなんだけどね」


 お茶を運びつつ、そんなやり取りをするからコケそうになった。

 男よりは女の子の方がいいという親はいると聞くし、別に構わないんだが。

 母親と俺にお茶を置いて、母親の向かい側のソファーに腰を下ろす。


「まぁあんたが女になるとは想像も付かなかったけどね」


 お茶少し飲むと母親は再び言葉を口にした。


「芳雄さんも冷静に見えて、驚いていた。もちろん私もよ? でも少し嬉しかった」


 母親は続けて「ニナちゃんがいる手前、喜べなかったのも本当よ?」言った。

 少なくとも俺より母親に言っていたのだろう、好きだった事を。

 何故そもそも……と思ったが、今日言った事だろうと理解した。


「あんた、ニナちゃんの告白断ったそうね」


「そうだな、否定はする気ない」


「あんないい子他に居ないのに、残念ね……まぁいいわ」


 俺の前いる手前、恥ずかしいのか泣くのを必死に堪えてたりしていた。

 母親に報告して……いや、これ以上は俺が言えるような事じゃない。

 少し胸が痛む気持ちになりつつ、話しかけてきた母親の声に耳を傾けた。


「もし、相談したいことがあったらなんでも言いなさい」


 そう言って母親はお茶を飲みほして、席を立って帰ろうとした。

 聞くなら今しか無いと思った。

 何故今はこんなに優しくしてくれるのか。


「聞かせてくれ、何故。今までと態度を変えた?」


「……あんたが楽しそうだったからよ、昔と比べてね」


 母親の発言でも無い気がするが、でも本当の事ではあるような気がした。

 何か口に出す前に母親は、玄関から出ていった。

 やがて車の出す音が聞こえた為、帰ったのだろう。


 楽しそう、か。

 まぁ否定する必要もないか。

 さて、セナでも呼んでゲームでもやって寝るか。

最終話は11月1日までに投稿したいな……

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