表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
最終章 ルールさえ守ってれば楽しみ方は自由
38/43

37話 友達と一緒にやるのは楽しい

結局遅れてるじゃないか!(自虐)

 宿題の件を終わらせて時間が過ぎるのが早かったのか、俺がこの姿に慣れたのか気づいたら2日も経っていた。


 生活も慣れてきたのか、どれくらい経ったか思い出したのがセナと2人でゲームの中をぶらぶらしている時。

 あいつがいきなり宿題やったっけ? と言い出した。

 結局はまぁなんとかなるか、などの言い訳をしては放り投げていた。


「お前も動きも手慣れてきたな」


「ゲームの中で下手をすると、困るでしょ」


「そうじゃなくて、リアルの方でだ。ニナの奴と普通に接してるし、前の姿を見せてやりたいぜ」


 そんなに変わっているものなのか、と1人言われて納得した。

 日にちを忘れるくらい、当たり前になってきたということか。

 セナは続ける様に、現実とは程遠い街の真ん中で止まり、俺の方へ向いた。


「結局どうするんだ? あいつが頑張ってはいるが、お前の本心を聞いてない」


「まだ決めてない、と言ったら嘘になる。俺はこのままで良いと思ってる」


「そうか……ならいいんじゃないか? お前の決めた事だし。俺がとやかく言うつもりもない」


 ただ、と付け加えてセナは笑った。


「前よりお前は楽しそうだ。何時も仏頂面してる前と比べると、笑ったりしてる」


「そんなに酷かったの?」


「おぅ、だから……その、なんだ。今のお前の方が好きだぜ、俺は」


 セナは途中まで言うと照れくさくなったのか、後ろを向いてそう答えた。

 確かに前は楽しくなかったかもしれない、このまま流れに任せて適当に生きればいいやと。

 それに俺は「なにそれ」と苦笑しながら、1言付け加える。


「ねぇ、セナ……これから大変なことがあるかもしれないけど、一緒に居てくれるよね」


 下手すれば、周りから告白でもしてるんじゃないかと思われるかもしれないが、それだけ言いたかった。

 するとセナは。


「ニナやあいつも一緒にな、数少ない元のお前の姿を知ってる仲だし……ちゃんとケリ付けろよ」


 セナが何処まで知っているかは知らないが、恐らくケリとはニナの事だろう。

 普段はおちゃらけてるこいつでも、身内や友達のことになると本気で怒る。

 俺は言われるまでも無く、しようと思っていた。


「だから、逃げるなよ」


 セナは俺に向き直り、笑って左拳を突き出した。

 それに対してぶつけるように拳を軽く突き出した。

 俺の唯一の男友達、そして本音が言える仲だからこそ、はっきりしないと行けない。


「わかってる」


 そう俺は笑って、言った。


 夢中でそんな事をやっていた為か、周りを見渡すと通りすがりの人がこちらをちらちらと見ていた。

 ちょっとゲームの中ではしゃぎすぎたかもしれないな。

 セナは「今日はずっとゲームやってようぜ!」と周りに気づいていないのかやる気で先に進んだ。

 俺はそれに内心溜息付きつつ、ついて行った。



 1人でやるよりも、2人や複数でやったほうが楽しい。

 それを知ったのは、こいつらと遊び始めてからだったと思う。

 薄々は感じていたものの、1人でやることが多かったせいか口にも出すことはなかった。


「このクエストいけそう……か? ん、どうした?」


 前言っていたクエストを手伝ってくれとさっき言われたのを忘れてた。

 1人で柄でも無いことを考えていたせいで、セナがこっちを不思議そうに訪ねてきた。


「そ、それでクエストの内容はどんなのなの?」


「あぁ、別に難しくはないけど1人じゃ時間かかりそうだからな」


 セナが受けようとしたクエストは収集品の納品だった。

 街の外にいるモンスターを狩って、素材を集めて持ってくるもので時間はかかる上ここまで戻ってくる手間もある。

 やつが手に入れたいのはなんのレシピなんだ? と更に聞きたくもなったが、言ってくれなさそうだ。


「1人だと、1体1体が硬くて倒してたら何時までかかるか分からん」


「私は武器代がかなり付くんだけど?」


「レシピの為に頼む!」


 両手を俺の前にだして、頼み込む様に合わせた。

 そもそも何が目的なのか言わないんじゃな、手伝う気も起きないが……しょうがない、暇だしな。

 溜息を付いて俺は。


「わかった、ほら行こ?」


「恩にきる」


 レベルも上がるし、そこまで敵も強くなさそうだから別に構わないがな。

 そんな事を思いながら、目的のモンスターを狩るために街の外へ進んだ。


 素材は手分けしたら割とすんなり集まった、が……中身はかなりグダグダ。

 途中セナがモンスターを引き連れて、俺の方に逃げてきたり。

 目的と違うモンスターを殴って、そいつが割と強くて大変だったりもした。


「何故こんなに大変な思いをしなきゃならないの」


「ま、まぁ集まったんだから報酬貰いに……行こうぜ」


 2人して息を整えながら街の中へ入って、依頼主のところまで歩いていく。

 クエストを達成すると「ありがとうございました」と依頼主は言って報酬を渡してくる。

 アイテムボックスの中身をメニューを開いて確認すると、何かの素材のレシピの様だった。


「糸……というか、素材?」


「あぁ服を作るのに特殊な材料が必要でな、ここのクエストが必要だったんだ」


 それよりも、そこまでしてお前は……その服とやらを作りたいのか。

 セナは「次のクエストも頼むぜ、そっちも同じく収集品だったはず」と言って、俺の返答を待たずにあるき始める。

 面倒なのだけを俺に押し付けてるな、その服がロクでも無かったら絶対拒否してやる。


 そう心に決めつつ、俺は2人でゲームを楽しんだ。

次は9月16日までに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ