35話 楽しいと思える程表情にでる
サブタイトルが長いし、話数表示した方がいいかなとか思ったり。
遅れて申し訳ない(恒例になってしまったのが否めない)
あの後ニナと御梅が何するかではしゃぐ中、俺は1人で自分はどうなのか考えていた。
ゲームばかりやっていたせいか、自分の気持ちを明確に感じた事なんて無かった。
いや、意味なんてもの考えたことが無かったせいだ。
楽しむ物なんて言うが、どう楽しかったと言われると答えられない。
「楽しいってなんだろうな……」
楽しそうに話し合う2人を見て、俺は自然とそんな言葉を発していた。
あいつも「お前は楽しそうでいいな」と言ってきた、だけど素直に受け取れなかった。
するとニナと御梅はこちらに振り向いて、俺の両腕を片方ずつ掴んで引っ張った。
「ゼノはその辺おかしいよね」
「いつも学校でゲームの事になるとうるさいくらい喋るのにね」
「そんなにおかしいのか?」
自分の事ながら笑ってしまう。
俺の部屋から引っ張り出す2人は何処に向かうのか決めたみたいで、上機嫌に連れ出した。
というか、歩きで行くつもりか? 車を運転出来るやついないだろう、遠くまで行くとは思わないけど。
「どこに行くんだ?」
「前に行った、近くのスーパー。私の手料理を……」
「ニナは1人でやっちゃダメ! やるならハルとね、死にたくないから!」
何よそれ! と言いながら、逃げる御梅にニナは信じられないとばかりに追いかける。
ははは、お前らは変わらないな……いいな、こんな会話出来るってのは。
確かに不味いとは言わないけど、ニナの料理はそこそこアレかもしれないな。
「あ、ゼノ。今失礼な事考えたでしょ」
「やばい、逃げよ」
「2人共、逃げるな~!」
御梅と横に並んで追い付かれないように走りながら少し考える。
財布持ってきたか? 御梅に顔を向けて聞いてみる。
「財布持った?」
「あ」
御梅はしまったとばかりに、気づいてニナの方に踵を返して、ニナに激突するように進んだ。
ニナはニナで「え?」と対応出来ずにぶつかる。
お前アホだろ、普通逃げながら聞くだろ……何故わざわざぶつかりに行くんだ?
「何やってるの……」
「……沙月がいきなり、それでどうしたの?」
「……財布持ったかなって?」
2人は大事は無いようで、俺は呆れつつも倒れ込んだニナと御梅をそれぞれ手を貸す。
こんな距離間なのも同性だからかもな、御梅と馬鹿やることは多かったが、ニナとは1歩距離を置かれてた気がする。
あいつは逆に少し距離置かれた気がするな、何故か近づくと戸惑うしな……いや、それが普通なのか?
「言い出したのに持ってないわけ……」
ニナは探しても見当たらないのか、3人して俺の家に戻る事になった。
結局、俺も予備の買い出しがあるためと言うことで、俺のお金で買うことになった。
忘れっぽい所もニナらしいな、何時も俺と買い物行くから大丈夫だろうけど、ちゃんとするべきだ。
御梅のはしゃぎにニナが反応して、俺は脇で話を聞く状態のままスーパーに着いた。
「なんか何時も見られてる気がする……」
「美人さんだからじゃないか?」
ガラスの自動ドアを開かせると、周りの人がこちらに気がついては視線を感じる。
俺が呟くと2人じゃなく、男性の声が聞こえた為、後ろを振り向いた。
先生か、スーパーで会うのは常連さんなのか? いや、いままでそんな事はなかった筈だ。
「奏世先生はなんでここにいるんですか?」
「ん? あぁ、準備とか大丈夫なのか聞きたくてな。女性はめんど……いや、色々あるらしいからな」
「先生その発言は、女性を敵に回しますよ?」
俺が聞くと、奏世先生は準備について心配してくれた様だ……過去に女性関係に色々言われた事があるのだろうか。
後ろから2人が先生に向かって、殺意的な視線? を送ってるのか、先生は途中で言い換えた。
正直俺も面倒だと思うのだが、絶対口に出さないほうがいいよな。
「それは置いといて、入学するのに手続きあるだろ? 許可は貰っているが、お前の直筆が必要な部分があるからそれもついでにな」
あぁ入学関連か、それならここに居てもおかしくはないな。
奏世先生は「本当はもっと前に送ればいいのにな……」とボソッと呟いていた。
何かあったのだろうか、教師というのもある意味面倒な職業だと思った。
「それにしても先生、何故このタイミングなんです?」
「学校に行ってきて、書類貰ってそのままこっちに来たんだ。忘れると困るしな」
先生と話していると、ニナと御梅が消えていた。
よく見ると、話し込んでいる俺達に飽きたのか、肉食品コーナーで色々探していた。
すると「黒旗」と小さく、俺の少し高い位置から声がした。
「友達は大事だから大切にしろよ。1人で何かやろうとして失敗してきた奴を、何度も見てきた」
「いきなりどうしたんですか」
「楽しそうで何よりだって事だ」
そう言った奏世先生を横目で見ると、溜息を付いては何処か寂しそうにしていた。
ちょっと聞いてみたかった事があった。
どうせなら、この体の悩みを聞いてみようかなと。
「自分の体が突然変わったらどうします?」
「俺か? 俺は、戻る方法を探すな。面倒だしな」
控えめにはしゃぐ2人の方に歩き出して、付け加える様に「後悔しなきゃ、別にどうなろうと知ったことじゃない」と言った。
良くわからないが、この人の優しさが少し見えた気がする。
俺も2人に向かって歩いていく。
買い物が終わっても俺達と一緒にいる所を見ると、一緒に食うつもりらしい。
ニナの料理だと言うことを知らずに……いや俺も調理するつもりだけど。
「お前らを見てると、こう。若いって感じがするわ」
車で送ってもらい、ソファーに腰掛ける先生は年寄りがする発言をしていた。
そんな呟きを無視しつつ、ニナにあれやこれやと俺は教えつつ調理を始めていた。
初心者同然な為、危なげに俺と話す姿は楽しんでいるようだった。
サラダとかの盛り付け、後はハンバーグ辺りを作ってたりする。
「楽しいのか?」
「少なくともゼノは楽しそうだよ?」
笑顔のニナに言われて、俺はそうなのかと思った。
確かに1人でやるよりは楽しいかもしれない、危ないけど誰かとやるのは。
次は8月13日までに




