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利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
3章 みんなで楽しむという事
31/43

31話 服は着れさえすればいいで通らないのか

次で最終章の『予定』です。


改稿工事します。なお、もしかしたら遅れる可能性もあります。

6月14日工事→6月23日完了

 今更だが、セナはなんでニナと一緒に来たんだ? と思った。


 1人で来るもんだと思っていた。

 それに加えて、ニナは2人でやっていた? らしいが、俺は抜きだと考えると少し寂しいな。


「……言ってくれれば良かったのに」


「どうしたのハル?」


「ううん、なんでもない」


 最近の俺はおかしいな。

 ゲームなんて1人でも楽しめればいい、なんて言ってたのに寂しいなんて思うなんてな。

 ニナに俺の呟きは聞こえてはいなかったようで、首を傾げていた。


「こいつ意外と寂しがり屋だからな、教えてもらえなくて拗ねてるじゃねぇか?」


「そ、そんな事無いよ」


 笑いながらこっちに来たセナにそう言われて、図星なので即座に反論が出来なかった。

 デタラメで言っているだけ、セナにそんな事が分かる訳がない、第一言ったつもりもない。

 そんな事を考えていると、後ろから御梅が抱きついてくる。


「大丈夫、ハルを置いてみんなでやるなんて事しないから」


「別に」


 あの時1人で何しようか考えてたし、やることあったから。

 御梅に抱きつかれながらそっぽを向くと、みんなからかう様に笑った。


 それよりも、ここに居てもただ時間が過ぎるだけだ……別に俺はこのままでも構わないけどな。


「これからどうするの? 何もしないよりは、なんかした方がいいでしょ」


「あぁ……そうだ、最初の街でやることあるから俺はあっちに戻るぞ」


「用事? なんか怪しい」


 セナは何がだよ! と御梅に問いただすが「さぁね~」と知らん顔をしていた。

 1人で出来る事って言ったら、レベル上げか? 制作系はコツコツと1人で上げるしか無いし、手伝える事もないだろう。

 ニナはこちらに来て「どうするの?」と聞いてきた。


「セナはレベル上げでしょ?」


「あぁ、お前なら分かってくれると思った。素材とかは頼めるか?」


「え? もしかして、ハルに気があるの?」


 変な言い方やめろ、それにニナなんでそんなに食いつく。

 素材は、それこそマケボ探せとしか言えん。

 俺だってレベルが高い訳でも無ければ、燃費の悪いボマーなんて職業だし。


「こっちの街で何かあっても面倒だから、前の街なら安全だと思うし一緒に行こう」


「……そうだな」


「ほら、さっさと歩く」


 少し考えるセナの背中を押しながら、御梅とニナにも声をかける。


 俺は道が分からない為、結局セナとニナに案内してもらわないと行けない。

 湖のあった草原から、歩き続けると傾斜が少なくなって奥に大きな建物が見えた。


「こんなにデカイ街だった?」


「あぁ俺も外側を見てびっくりした」


 近くに寄るにつれて、その大きさが異常だと言う事が分かる。

 よく言われる東京ドーム何個分? くらいの大きさだろう。

 最初外に出た時は周りの風景を見てた為か気にしてなかった。

 

 街へ入る為の門に入ると、和服を着た人が歩いていた。

 よく見ると、NPC以外にもプレイヤーが着て、おめかししている人さえもいた。


「着物に和傘なんて、あるんだな」


「場所に違和感を感じなかったから、後あの時はプレイヤーの方が多かったのもあるね」


「ねぇ、ハル! 着物買おうよ、着てみたい!」


 お前、ゲームの方のお金あるのか? いや、それよりも店に売っている物なのか? 制作物だったら……。

 セナの方を見ると「じゃっ!」と言って、走り去った。

 お前逃げたな、売ってなかったら無理やり御梅が作らせそうだし、俺は逃げられないか。


「私は別に今の服で構わな……」


 と言って去ろうとしたら手をガッチリ掴まれる。

 振り返ると、ニナが笑顔でそこにいた。そして、御梅も逃さない様に俺の空いた片手を持っていた。

 やめろ、連れて行くんじゃない……2人共笑顔が怖いから、本当に。


「2人で、楽しんできたら?」


「ほら、学校に通う様にならないと行けないんだから、女の子と遊べるようにね」


「そうだよ、女子は大変なんだよ?」


 この2人是が否でも着せようとしていらっしゃる。

 手をガッチリ掴まれながらも2人は「どこに売ってるんだろう?」「外観見れば分からないかな?」など喋っていた。


「多分、中に入れば分かると思うけど……」


 そう言っている自分がいた。

 楽しんでいるのではと、思っている自分を振り払いつつ、一緒になって探している。


 歩き続けると、包装紙が置かれている店があった。

 見た目を分かりやすい様に、そうなっているのかは分からない。


「中に入ってみよう!」


 御梅とニナに半強制的に入らされていく、もちろん腕は固定されたまま。

 入ると、畳に正座している店員が「いらっしゃいませ」とお辞儀をした。

 2人に買い方を尋ねられたため、教えながら商品を探す。


 そして――


「凄~い、本物の着物みたい!」


 着物買えました……俺のお金で2人が買いたい物を買ってあげる事に。

 男物と違って帯の辺り締まってるし、なんかスースーするのは……いやワンピース着てた時から思ってたけど。

 かんざしなんかもあったりしたけど、長い髪をそのまま下ろした状態。


 着る自体は簡単な事、メニュー欄で装備を変えるだけだから。

 でもさ、これ動いたら見え……。


「お前ら買ったのか」


 店の前で喜んでいる2人を見ていると、どこから来たのかセナが話しかけてくる。

 そして俺の方を見て「ありだな」と言ってきたので、殴りかかってみる。

 見切られ空振り。


「それでここでどうしたの?」


「いや、ここに店があるって言おうと戻ったら居なかったからな、出戻りだ」


 それに、とセナは続ける。


「裁縫だからレベル上げるのここなんだよ」


 確かに思えば、素材買うにもここだろうな。

 必要な物はゲームでは意外と、こういう店で売りに出している。

 ということで、と言ってセナは中に入っていった。


「もう、ハルには言って、私達には感想無し?」


「酷いよね」


 面倒事を避けたかったのだろうが、逆効果になっているな。

 そこに居ないセナに怒る2人から視線を外して空を見上げると、夕日が出ていた。

 ゲーム内ではそろそろ夜になっていくのか。


 すると電話がかかってくる。


「何?」


『明日、制服の採寸しなきゃ行くわよ』


 あれ、珍しい母親からだ。


「唐突過ぎない!?」


『もう少しで春休み終わるんだから、そんな事言ってられないでしょ』


 あれそんなにもう経ってたっけ?

 それだけ伝えると、母親は電話を切った。

 マジか、いや分かっていたけど、制服の存在を忘れてたわ。


「ハルどうしたの?」


「親から、明日制服の採寸行くって」


「あぁそういえば、制服無いもんね、ニナの着ていくにも胸が……」


 そんな事を御梅が言うものだから、ニナに頬を引っ張られて「ひたい、ひたい」と言っていた。

 とりあえずセナにも言っておくか。


 春休みが終わりか、なんか色々あったけど……主にこの体のせいだが。

 楽しかったんじゃないか?

 そう思って、2人にも言って、今日はお開きにすることにした。


 セナはどうせ暇だし、レベル上げしていくとのこと。

次は6月26日までにです

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