27話 人との出会いは何時も突然
本編と関係ない話ではあります……が。
一応この2人は今後登場はしませんが、外伝時の……いえなんでもないです。
細かい所ですが、武器を買った一文消えていたのでいれました(移動後の所です)。
ゲームの中はすっかり夕方となって、休憩に俺ら2人は建物に背を預けていた。
セナは街を周っている最中、ふざけるような陽気な顔で俺に絡んでくる。
そういえば、こうやってこいつと街とか遊びに行ったことなかったな。
たまには外にでも誘ってみるか? と思いつつ、奴の顔から視線を外して、オレンジ色の空を見上げた。
「時間が過ぎるの早いな」
「ゲームやっているとね」
「そういうことじゃ……いや、それもそうか」
セナは何か意味ありげに言うが、途中でそれを止めて俺の言葉に肯定した。
まぁ、こいつくらいだったしな……一緒にゲームをやってくれる奴は。
幼馴染と言ったって、最初から仲がよかったわけでも無い。
「そういえば、少し前は喋ったことも無かったよね」
「姿は全然違うけどな」
茶化しやがって、自分で言うのはなんだが……よくこんな俺に付き合ったもんだよ。
始まりは3年前で何も接点が無かったが、同じ高校になってあることが原因で俺達は意気投合した。
ニナは少し前から俺の事を知っている様だが……話してはくれない、その時の原因の1つでもあるらしいが。
セナがこっちを見ている様に感じるが、特に気にする必要もない。
さて、これから何するか……一度落ちるか? そう思っていると、セナが呟く。
「メール……あいつか」
「ニナか?」
「あぁ、面倒だな……ハル、少し行ってくるわ」
あ、それと落ちないでもう少し遊んでてくれ、と言って横から俺の目の前にセナが移動する。
それもニナからの指示か? まぁ、気になった所あったし別に構わないがな。
そしてセナは俺に手を振りながら、背中を向けて歩き出した。
落ちないでそのまま歩いていく所を見ると、ゲーム内で何かすることでもあったのか?
疑問は残るものの、俺が知ることでは無いだろうと思って、セナと別な方向へ歩いていく。
「武器屋と、使えそうなアイテム探すのに道具屋と……」
歩きながら指折りに行く場所を口に出す。
そういえば、職業変える場所は最初の街しか無いのか……武器は買わないとキツイし。
ついでに図書館の様な場所まであったからそこでも行くか。
途中に武器屋、道具屋によったが……結局良いもの見つけられずそこそこ安い武器を5本購入した。
1人で歩いているのは暇だな……。
小さく溜息を付きながら、目の前にある建物を見上げる。
大樹がある近くにあった探した中で2番目にデカイ建物。
「入るだけ入って、深くは見なかったんだよね」
別に誰も聞いていないと思うのに、1人そんな事を呟く。
周りを囲む芝生にある一直線の黄色い地面を歩いていく。
身長の2倍近いある両開きの扉を開ける。
そこには、明るい照明が木で作られた床と壁を照らしていた。そして横に均等に並べられた本棚が右側に見えていた。
「いらっしゃいませ、ご利用ですか?」
受付けの人に喋りかけられ、どんな本を置いているのか確認していると。
あれか魔物図鑑とか、地域系統の物が置いてあって自分で調べて次の場所を目指す感じか。
1人でうんうんと納得していると、静かな部屋に似合わない声が響く。
「海人どこいったのよ!」
別に話を聞く義理も無いので、無視しておく。
えっと、魔物の生態……地域とかはと……常にマップ開ければ楽なんだけどな、こういうとこ面倒なシステムだと思う。
調べ物を終えて、空を見上げると、黒い空に小さな黄色の光が点々とあって、すっかり夜になっていた。
その中心にある三日月を見ながら、街の外を見てみようと思った。
街の外へ出ると、そこには林の様に木々が並び、その中では剣が交わる様な甲高い音が響いていた。
時間的に敵がわいたのを狩っているのか、まばらで近かったり遠い音がする。
それともただの演出かもな、なんて思ったりしながら街から伸びる1本道を歩いていく。
「こっちは最初の街じゃない道かな?」
そんな事を口にしながら、特に敵にも合わずただ歩いていく。
うーん、1人で歩くとつまらないな……誰かいないものか。
「まだやれる、やられたくないんだ!」
木の中から出てきたのは、同じくらいの背の男。
焦っているのか、息を切らしながら目の前を睨みつけているが……。
男が見ていない後ろから、蜘蛛にも似た人サイズのモンスターが足を広げ近づく。
「……」
俺は見ていられない、と両手に武器を出しながら駆け寄る。
武器を出す際に片方を爆弾化させ、もう1つを普通の武器のままにする。
細身の剣を2本、通常の剣をモンスターに斬りつける。
「危ないよ、冷静に戦わないとね」
「あなたは……」
ん? また俺の事を知っているのか? まぁいいや、それよりも!
斬りつけた蜘蛛の方を見ると、静かに木の陰に隠れるの様に、姿を消した。
パーティーというのは使った事は無いが、メニューを開いて送って見ると。
「あ、ありがとうございます!」
何故かお礼を言われた……まぁ1人じゃキツそうだったしな。
何も仕掛けてこないのか、警戒していると1つ上から影が移動してくる。
申請は通ったみたいだが、どうもここらへんのシステムの確認が分かりづらい。
何か来る! と俺は叫んでバックすると、何かを察したように後ろへバックする。
すぐに上から蜘蛛が砂埃を上げて地面へ着地してくる。
「ちょこっと見えたけど、蜘蛛みたいね」
「まとまり付く糸と両脚は危ないです」
まぁそうだよね……と思いながら、目の前にいるモンスターを睨みつける。
蜘蛛は口を大きく開けて、糸を吐き出してくる。
それを避けるように横に避けながら俺は蜘蛛に向かって走り出す。
近づく俺に6本の内の2本、前脚を爪の様に鋭い攻撃をジャンプして避ける。
蜘蛛の真上で普通の剣で縦斬りに、振り下ろす……が通らず。
俺は地面着地して、追撃に左手の爆弾化した剣で横殴りにモンスターに当たる瞬間。
「爆発」
そして、木々の中ではあり得ない様な、耳に響く爆音が響く。
爆風は蜘蛛と俺を隠す程度の小さな物だったが、俺は爆発させた後バックで煙の中から出てくる。
後ろで唖然とした男が近寄ってくるが、油断も出来ない。
小さくすうっと吸うと、その場から横へ飛ぶ。
「まだ倒すには早いか」
居た場所には蜘蛛の糸が飛ばされた。
男はそれを避けつつ、剣を振り下ろしにかかる。
それを見逃さず、俺は武器を新たに出しながら、蜘蛛の後ろに回り込み。
2人の斬撃をくらうと蜘蛛は倒れ込み……白く量子の様に消えていった。
割と強かったんじゃないかと思いつつ、男の方へ顔を向ける。
「危なかったですね」
「はい、ありがとうございました……えっと、ハルさんですよね?」
「はい……そうですけど、どこかで会いました?」
出会った記憶が無いため……というか俺が覚えていないだけであそこに居たかも知れない。
俺が首を捻っていると、男は少し息を吸って答える。
う~ん、話しても人の顔忘れるから失礼にならない様に、思い出そうと努力しよう。
「僕が一方的に知っているだけですので、一応あの場には居たんですけどね……」
「覚えて無くてすみません」
「いえいえ、僕の名前だけ覚えてもらえれば」
本当に申し訳無いと思う……が、知らない物は知らないからしょうがない。
男は「僕の名前は、海人といいます」と俺の目を見てそういった。
ん? さっきそんな名前を聞いた気がするが。
フレンド機能的な物もあったため、一応ちぐはぐでしてもらっておいた。
そういえば、セナともしておかないとな……とメールか。
『件名:そろそろ休憩したらどうだ?
俺は先に落ちたからな、モンスター狩ってたみたいだから待ってた。
それと、無闇に男助けるなよ?
面倒になりたくなかったらな』
それもそうだが、まぁ今回は条件反射的な感じだ。
落ちる為に、海人という男に顔を向ける。
「私は休憩するので落ちるね」
「はい、お疲れ様です」
街へ歩きだして、俺はゲーム世界からログアウトした。
結局セナの用事は何だったんだろうな?
そんな事を思いながらも、戻ってきた意識で目を開ける。
次は4月26日くらいまでに更新したいと思います。
おまけは無いですがこれまでの、用語紹介です。
マケボ:マーケットボードの略
商品をプレイヤーが出して、プレイヤーが買う取引する掲示板。
ネカマ:ネットオカマの略
男性が女性キャラを使用し、女性を演じる事、またはその逆もあり。
PVP:プレイヤーVSプレイヤーの略
対人戦とも、ただ悪質の行い(強いプレイヤーが弱いプレイヤーを倒す事など)にはPKがよく使われる。
PK:プレイヤーキルの略
戦闘不能とも言えるが基本的に上記で使われる事が多い。




