25話 1つの視野に留まると周りが見えなくなる
内容的には、最初の内容を2、3話引っ張る形です。
修正開始(2018年)3月20日 → 改稿完了 3月29日
家に帰ってきた俺は、ニナと共にリビングに向かって歩く。
両親は何時も俺に連絡をしてから家にやってくる。
1人暮らし自体、俺が1人立ち出来て嬉しいわ~とか言ってしな……絶対、面倒だからだと思うが。
――そういえば、あれってどこに売ってるのかしら
リビングの扉に手をかけて開こうとすると、中から母親の声が聞こえてくる。
何かの買い物するついでにやってきたのか? 買い物ついでに寄る母親でもないはずだが。
人の性別が変わって嘆くどころか、嬉しがる両親だからな……。
「今日は何しに来たの?」
「酷いわね、実の娘の顔を見ない母親なんていないじゃない」
扉を開きつつ恨み口を言うと、母親が即座に反応してくる。
さらっと息子だったことを否定しやがった……ニコニコしてるからあながち間違いではなさそうだが。
ニナが中々入らない俺の横から顔を出して挨拶する。
「カナさん、こんにちわ~」
「ニナちゃん~、ほんとこのバカ息子のせいでごめんね」
「ううん、ゼノが決めたことだもん」
ニナは俺がどくと母親の方に駆け寄って抱き合った。
おい、バカ息子呼ばわりしたぞ……ただ話が分からん、ニナは納得しているが。
昼ごはんどうするかな、何かあったっけな?
「今日は仕事休みなのか?」
「そうよ。あ、お昼は出かけるからニナちゃんと私のはいらないわよ」
キッチンでお昼の事を考えながら母親に言うと、普通に返答が帰ってきた。
ニナが母親と出かけるなんて何の用事だろうな? また俺の事じゃないと信じたい。
俺が2人を交互に見ていると、ニナは笑顔で言ってきた。
「私もゼノと楽しみたいから」
「そうか、よくわからんが……頑張れ」
どうもニナに弱い気がするな、笑顔で言われるとなんでも許してしまいそうだ。
冷蔵庫の中を確認しつつ、たまには簡単に冷凍食品で済ませるかと呟く。
あ、そういえば風呂も入らきゃ行けないんだっけ……う~ん。
「あ、ハルあなた風呂入ってないでしょ」
「そうだけど……」
すると、俺の腕を掴んで洗面所の方に連れて行く。
おいおい、どうしたんだ急に。
母親はすばやく俺の服を脱がしにかかっている……抵抗も出来ない、ニナはこっそり見ている。
「女の子なんだから、風呂くらい入りなさい!」
「え、あぁ……そうだな」
手慣れた仕草の母親に圧倒されながら、全裸にむかれる。
すると、風呂場へ連れて行かれる。
――数十分後
……一瞬だった、というよりは手際が良すぎる。
今の状況、ドライヤーで乾かされています。
さすがに風呂まで沸かす時間までは無かったため、シャワーと体を洗う程度だけれど。
「もう、手のかかる子なんだから」
「ニナにやってもらってたから」
女性に勝てる気がしない、俺この先やっていけるのかな……。
髪が長いから余計に乾かすのに時間がかかるし、ケア? だとかも色々やるらしい。
ニナは何もしようもない俺に話しかけてくる。
「私も教えてあげるから、学校までには覚えようね」
「ありがとう、俺1人じゃ何も出来そうにないからな」
母親はその会話を聞いて「口調も変えなさいよ、ただでさえ前も汚いんだから」と言ってくる。
本当に前の俺に厳しすぎやしませんか?
ニナは母親に「ゲームの中では女性みたいだよ?」と答えていた。
母親は「現実でもやりなさいよ」と言いつつ、終わったみたいでドライヤーの生暖かい感覚と風の音が消えた。
そんな会話をする2人をよそに鏡を見ると、ふわっした金髪が見えた。
「すごいな、これ俺1人でやるのか?」
「みんなやってる事よ?」
ニナもうなずいてる、うむ……男の方が楽だったかもしれない。
鏡を見て惚けている俺を気にせず母親は立ち上がった。
出かけるのだろうか、ニナに喋りかける。
「ニナちゃん、行きましょうか」
「うん、じゃゼノ言ってくるね」
そう言って、母親とニナは脱衣所から出ていった。
覚えないとダメだよな、ゲームやってる分には気にしなくていいんだが。
体のほのかな熱気を残しつつ俺は、髪を乾かした後。
「どうしよう」
服の着かたが、いやここは頑張って見よう。
――数十分後
はぁはぁ……最初よく分からなかったが、ニナがやってた事をしたら出来たな。
なんでこんなに疲れないと行けない。
飯でも食べて落ち着こう、うん。
「ん? メールが来ているな」
服のポケットに入っていた携帯を見ると2件程来ていた。
全部あいつからじゃねぇか。
リビングに向かって歩きつつメールを開く。
『件名:修正早いな~
一応、午後の3時に終わりだってよ
しょうがないからお前の方へ遊びに行くわ
なんかニナに後で手伝えって言われたけど、なんか知らないか?』
午後3時か、今1時ちょっとくらいだから……2時間近く待つのか暇だな。
というか、あいつ他になんかやること無いのか? 暇な気持ちは分かるが。
携帯を台に置いて、冷凍食品を取り出しつつメールを見る。
えっと、時間はと。
ご飯を別けたり、レンジで温めつつのんびりと過ごす。
ピンポーン
食べ始めようとした時、インターホンが押される。
セナか? 来るの早すぎる気もするが、いやメールの時間も考えればそうでもないか。
勝手に入ってくるとは思ったが、違ったら怖いため開けに行くと。
「よっ、お邪魔するぜ」
「今飯食ってるから、構ってやること出来ないぞ」
「まぁ別に構わねぇよ」
そう言って、リビングにヘラヘラ笑いながら入っていく。
本当にこいつは、どうせ今後何するか話したくて来たんだろ?
リビングで飯を食べ始めると、脇でノートパソコンを広げ始めた。
おい、飯食ってるんだからやめろよ。
そんなにらむ視線を送ってもセナは気にせずにパソコンをいじる。
「今回の修正内容なんだが」
「なんかあったのか?」
「あの大規模とかのな……」
セナが話すの聞きつつ箸を進める。
えっと、つまりは……あのクエストで特定ユーザー以外の人でも受注可能不具合を直したと。
後は、軽い職業の不具合が多発してたため修正か。
そういえば、メインのストーリーとかってないんだろうか?
セナの方に顔を向けつつ、バカ面を見て聞く。
「メインストーリー無いのか?」
「調べてみたが、無いようだ……そもそもが交流だしな」
それもそうか、特定の誰かが得する様なシステムじゃなきゃいいや。
あぁでも……こういうのって改造とか違法系が流行るんだよな。
はぁ……と溜息すると、セナが気になったのか聞いてくる。
「どうした?」
「いや、こういうのって違法系流行るよなって思ってな」
「分かるわ、前オンラインやってた時に大量に増えてやる気無くしたわ」
セナも同意なのか、肩を落とした。
そうなんだよな、しかもこういうのってそれを使って周りのプレーヤーに迷惑かけるんだよな。
正直、俺もやられた事がある……といっても、妨害くらいだが。
面倒事に巻き込まれなければいいが。
いや、こういって昨日巻き込まれたから一概には言えないか。
次は、3月26日までに更新します→3月30日に更新します。
おまけ(設定です、特にストーリー上知らなくても可)
日ノ影
日本サーバーの初期拠点
温泉や道場、といった昔あったような施設が各地にある。
風情の感じる場所などがあるが……主人公は興味が無いのでスルーしている。
運営によると、名前の由来は今はもう無い歴史の影に隠れた日本という意味らしい。




