24話 人生誰しも人と関わっている
何も無い? 回です。
ただ、裏では何やらやりとりしているようで……。
俺はニナと2人分朝食を作り、食事を済ませた。
途中、セナから悔しそうな内容のメールが届いたが無視した。
今、俺の部屋にあるクローゼットにかかっている服でニナが何を着せるか考えている。
正直、ファッションだとかオシャレなんてものは知らないし……適当にしようとしたんだが。
いざ服を持った時に「これどうやって着るんだ?」となった。
「う~ん、これでもいいし……これなんかどう?」
「よくわからん」
ニナは「もう、自分の事なんだから……」と言いつつ、俺の体に重ね合わせて違うのか元の場所へ戻した。
着かたもそうだが、何1つニナに頭が上がらないな。
――数十分後
あれから服を着せてもらい、なんとか準備を終える事が出来た。
白色の……ワンピース? だっけか、それとか黒いニーソックスとか色々着た。
自分の部屋には鏡が無いので、洗面所で確認すると。
「可愛いな」
そんな感想がもれた……自分の事なのにな。
金髪にエメラルドの瞳と、日本人には見えないし体型もスラッとしていて……て何を考えてるんだ俺は。
ニナが言うには、俺をカッコイイ系にしたかったらしいが、今はこれでいいとの事。
財布とか最低限の物を持って、玄関に向かう。
外にはニナが待っていて、満足気な感じで笑顔だった。
「どこに行く予定だ?」
「えっとに近くにある、喫茶店とか?」
アバウトだな、まぁ構わないが。
歩きだすと後ろからニナが「ゼノは……元の姿に戻りたい?」と聞いてきた。
俺は別に前の姿に未練があるわけじゃないし、それに戸籍変えたから戻っても面倒なだけだ。
「別に思わないな、なった以上今更戻る気はない」
「そう……うん、ありがとう……」
声が小さくてよく聞こえなかったけど、さっきと違いどこか元気が無くなった。
それを悟られないようにか、ニナは歩いている俺の隣に早足に追いついてきて、無理して作ったような笑顔で並んで歩く。
何故と聞きたかったけれど、聞くよりも俺はニナの頭を撫でた。
「ゼノ?」
「まぁこんな俺でも良ければ、これからも付き合ってくれ」
ちょっとくさいセリフだったかもな、照れ臭くて空いてる左手で頬をかく。
ニナはその言葉少しは元気が出たのか、少し嬉しそうな顔をした様に見えた。
ニナが行きたかった喫茶店まで、のんびりと話をしていた。
服に関してとか……後、珍しくゲームの事を聞いてきたな。
街の外れで着いた喫茶店は、老舗の様な雰囲気を持った木造の店だ。
自分で言うのもなんだが、建物見ても何も感じ無いんだよな。
ゲームでもそういう場所だくらいしか思ってない。
「どうしたの?」
「いや、どこで知ったのか気になってな」
ニナは店の前に立ち止まっている俺に聞いてくる。
とっさに嘘を付いたが実際に気になった事でもある。
ニナは「ちょっと知り合い」と言って俺の腕を引いて店の中に入る。
店の扉を開けるとカランカランッというドアベルの音が鳴る。
縦に伸びたカウンター席の正面に、少し歳行ってそうなお爺ちゃんがガラスのコップを拭いていた。
「いらっしゃ……おぉニナ、元気かの」
「おじいちゃん、こんにちわ」
ニナの姿を見るなり、親しそうに声をかけた……ニナも気軽に話かける所見ると、親戚か親の知り合いとかか?
すると、今度は俺に視線を向けてきた。
笑顔で「いらっしゃい、適当な所に座っておくれ」と言った。
ニナはう~ん、と言いながら日の光が入るテーブルの席へ歩いていった。
俺はそれに付いていく。
「ハル、ここに座ろう」
そう言って、ニナは座ったので俺はその反対側に座る。
メニューの注文は、紅茶とか飲んでみる事にした……飲んだこと無いけど。
注文が終わり、ニナは俺に話しかけてくる。
「あのゲーム、やめるつもりは無いんだよね?」
「あぁ、少なくともこの春休み中はやるつもりだ」
「そうなんだ……」
ニナは少し残念そうな顔をしたが、楽しかったしやり続けるつもりだ。
すると、ニナは携帯を取り出してメール打った。
なんか凄く嫌な予感がしたんだが……何故かは分からない、だが悪寒の様なものが……。
「そのゲームって、自由に動けるの?」
「むしろ快適過ぎるな……普通に現実以上の動きが可能になる」
そうなんだよな、出来そうと思えば出来る感じになる……怖いと言えば怖い。
例えば現実では地面から、2階に飛び上がれないが……あっちでは、ジャンプの意識が出来れば行ける。
多分、職業によって変わる事だが……武器の構え、技の動き、範囲が自動的に頭に入ってくる。
無意識の領域くらいに。
「まぁ……世界を歩くのが目的だから、やると言っても……これからあいつとぶらぶら街巡りだがな」
「そう……なら私も……」
ん? ニナがいきなりうつむいたが、何かぶつぶつ言って……まぁ気にしないでおくか。
そんな話をしていると、お爺ちゃんが2人の飲み物を持ってくる。
その後は、昔の事……小学生の頃の話で盛り上がった。
昼になるくらいまで話して、そろそろ帰るかという事で家に帰る事にした。
結局ニナの目的は、あのお爺ちゃんに会うこと?
聞いても「ないしょ」と答えるだけで、更に良くわからん。
俺達は家の近くまで歩いてくると……見慣れた車が置いてあった。
「両親、帰ってくるなんて言ってなかったよな」
そう、そこに見えるのは何時も両親が運転してる車。
ニナは特に驚く様子もなく、家に入っていく。
俺も一緒に入っていくが嫌な予感が拭えない。
何故だろうな、両親が絡んでるのと……ニナの態度が原因か?
そう思いつつリビングに顔をだす。
次は3月14日までに更新したいです!




