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利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
2章 このゲームに主人公は存在しない
19/43

19話 どうせなら作戦を立てていこう

はい、ここまで引っ張ってすみません!

 3人一緒に歩いて拠点に戻ると、何やら話声が聞こえてきた。


 何か話をしているようだが、ここからじゃ遠くて何を喋っているかは、よく聞こえないな。

 近づいて行くと、何やら叫び声に変わって、2人で何かを言い争っているようだ。


――僕はこれから1人で街へでる!


――それは得策じゃないと言ってるんだ、お前は何でいつもそうなんだ


 片方は勇者とか名乗ってた奴か? そういえば、少女を助ける前にいたなそんな奴。

 もう1人はメガネもかけてるし、冷静に喋ってる所見ると知り合いか何かか?

 セナが「なんか、言い争ってるな」と言いつつ、呆れているようだった。


「どうしたの?」


「ようやく来たか、実はな……と、名乗ってからか、モナとでも呼んでくれ……実名は伏せておく」


「話は終わってないぞ!」


 モナと名乗った女性は、大人の人じゃないか? 年齢がよく分からないけど、少なくとも俺らよりは年上の様な気がする。

 呆れたように両手を腰に当てて、茶髪を揺らしながら顔を横に振っていた。

 本当に知り合いのようだな、ブラウンの瞳でこちらを見つめてきた。


「この馬鹿がうるさくてすまない、こいつの名前はオナとでも呼んでおけ」


「はぁ……ご丁寧にありがとうございます」


「先程も思っていたが、喋り方と仕草は外国人に見えないが……何かあるのかい?」


 さっきから叫んでる男は、オナと呼んでおこう……アーリーアクセスに関しては、俺もよく分かってないからな教えるかどうかは。

 御梅が「何々? あれモナじゃん、どうしたの~?」と喋りかけてきた……知り合いだったのか。

 モナさんも「ウメか、こんなゲームで会うなんて珍しい事もあるようだ」と笑顔で言っていた、アダ名がウメなのか。


「知り合いなのか?」


「うん、親戚の人だよ~」


「世間は狭いのね、そっちの人は知ってるの?」


 セナと俺の問いに答えつつ御梅は「知らないけど……どこかで見たかな?」というとモナさんは「アーリーアクセスでこんな姿になったらしい、ちなみに同級生の筈だ」と返していた……元同級生なのか、なら少し気軽に話してもいいかも知れない。

 モナさんに「私と同じですね」というと「君もなのかい? 前の姿は知らないけど、大変だっただろう?」と疲れた様な顔を向けてきた……俺は親が頑張ったからな。

 オナは無視しているのが気にくわないのか、掴みかかってきても無視している、ただちょっと青筋立ててるけど。


「このままじゃ、話が進まないな……作戦と言える程の物では無いが試してみないか?」


「聞きます、少しでも安定して街を出たいので」


「それでは……まず全員の職業とスキルの確認をしよう」


 そうして、全員に声をかけてモナさんの作戦に付いて聞いてみる。

 作戦は3段階で……確実にするために街を出るのは少数となるが、元より全員で突破することは考えていない。

 作戦の話をする際に、同級生2人の名前も聞いておいた……ノリが軽そうで能天気な奴が玲穏、冷静そうだけど考え方が浅そうな奴が河野。


 作戦には全員の賛同までは貰えなかったものの、納得させる所までは行ったようだ。


 そもそも職業を設定してない人が大半で、その人らはそれぞれ役割を与えてある。

 戦闘職が前衛で切り開く、採取職はステルスで街の出口を探す……一応抜け道を教えて行ってもらってる、生産職は前衛が死んだ時の蘇生……または素材で作れる物を作る。

 そして、何も無い人は次の街へと進んでもらう……もちろん、戦闘職もいる。


 前衛のかかりになった俺は、採取職の人の帰りを待っていた……するとセナが話かけてくる。


「よくもまぁ、あの数人の採取職で実行する気になったな……」


「場所はなんとなく分かるが、広い街の中で戦闘しながら歩き回るのは辛いしな」


 みんなの意見をまとめてる内に、個別チャットの仕方やパーティーの仕様について色々聞いていた……いや、チュートリアルやったんだが使わなくて忘れたのもあった。

 モナさんは採取職だったため、今探索に出かけている……作戦の立案者がやるのは、珍しくも……ないか。

 オナという男は、俺に対して「ぼ、僕の前に立つな!」と突き放されてしまった……どうしたんだろうか、御梅は「あれじゃないかな、好みとかじゃない~?」と、からかい混じりに言ってきた。


「オナとかいう奴は、勇者気質なのか?」


「知らない、話聞こうとしても突き放されちゃうから」


「なんじゃそら、良くわからない奴だな」


 溜息を付きながら右手で金髪を撫でる……正直、女性の姿なのを忘れそうだがな。

 その仕草を見ていたのかセナが「……お前は普通にしていれば、好み何だがな」何か呟いていたが、よく聞こえなかった。

 聞こうとして口を開こうとした時、出口から3人が戻ってきてこちらに話かけてくる。


「見つけたでござる!」


「戻った、それにしても広い街だ」


「ひゅー彼氏かい? 熱いね~」


 特徴のある喋り方と、茶化して来るやつがいるのだが……名前までは聞いていない、名前は表示されないから聞く他無い。

 画面なら名前を表示されそうだが、俺には関係の無い話だ。

 さてルートに関して聞いておかないとな、実行する上で必要だ。


「意外と近かったの?」


「ああ、すぐそこでは無いが下水道も見つけたし首尾は上々だ」


「下手すれば、逆かもと思ったけど……あっててよかった」


 そんな会話をしつつ、モナさんに「このゲームをやり始めたキッカケはなんですか?」と聞いてみる「それはオナが始めて、誘われたからさ」と返してきた。

 そういうものか、VR装置という物が浸透しているのは構わないのだが……かなり人数がいるなと思ってな。

 すると「君こそ、どうして始めたんだい?」と聞いてきた「面白そうだったからです」と答えた。


「聞いてないでござるな……」


「さっさと終わらせて欲しいんだが」


「すみません」


 話に夢中になってしまったため、2人に言われてしまった……照れ隠しに自分で頭を撫でながら謝った。

 待機している人に「さぁ行きましょう!」と声をかけると、立ち上がってくれた……みんな手伝ってくれるとは思ってなかったからな。

 行こうとした時にニナから電話がかかってくる……どうやって出るんだこれ? 電話と心の中で言うと、何か繋がった様な音が、頭に響いた。


『私1人じゃ寂しいのよ! 全然戻って来ないし、少しくらい戻ってきてよ!』


『ご、ごめん……もう少ししたら戻れると思うから』


『今度は本当に許さない……明日、1日禁止にするからね』


 怒らせちゃったか? 前にも思ったが、ニナも流石にずっと画面1人で見るのはキツイのかもな、しょうがない明日は買い物に付き合ってやるか。

 ニナに『分かった、明日付き合ってやるよ』というと嬉しそうな声で『絶対だよ?』と言ってきた。

 2度目になるが、たまにはゲーム以外の事もしないといけないからな……1週間近くは現実の事をやってみるのもありだ。


『ここから大変な事になるから、切るよ』


『お願いだから、やられないでね……知り合いがやられるのは、見てて嫌だから』


『分かった、努力はする』


 そう言って電話を切る……のどうすればいいんだ? 切ると同じ様に思うと、切れた。

 電話を終えて周りを見渡すと……みんながこっちを見ていた、声かけておいて電話してちゃ世話ないな。

 皆に「ごめんなさい、電話が来てたの」と言うと、納得したようだ。


 俺達は街の脱出に挑みに行くことになるだろう……御梅や他の戦闘職の人は、頑張ってもらわないとな、この作戦……一番俺が大変なんだけどな。

次は、1月2日までに更新

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