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利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
2章 このゲームに主人公は存在しない
17/43

17話 頑張っていればその内いい事がある

鬱まではいいませんが、暗い内容ばかりで申し訳なかったです。

主人公の声、荒くなっていたのを少し修正しました。

 俺達2人は、デカイ虫を背に階段を上がって行く。


 そこには、かなり開けた場所があった……暗いな、何処かの一室の様に見えるが。

 何があるかも分からないまま、目の前を歩いて行くと……そこには何やら端末が置いてあった。

 なんじゃこりゃ……置型のパソコンの様に、俺の頭までの大きさで、腰より少し高い場所にキーボードの様な物が付いていた。


「とりあえず触ってみない事にはな……」


『緊急用拠点1……登録しますか?』


 拠点だと? こんな場所になんであるんだ? それに……ここにモンスターがいないし、一先ず安心だが。

 触って『はい』という画面をタッチすると……端末がいきなり音をなり始めた。


キュイーンッ


 暗かった周りは、音共に上にあったのだろう……証明に明るく照らされて、見えなかった奥まで鮮明に見えるようになった。

 そして、中心には……こんな暗い部屋だったのに、キレイな葉っぱを生やしている1本の樹があった。

 お、おぅ……凄いな、暗くて何も見えなかったが目の前にこんなのが置いてあったとはな。


 そんな事を思いつつ、端末に目を向けると……俺にとってそれは救いともいえる言葉があった。


『拠点1、A区の範囲内のプレイヤーをここに蘇生そせいまたは強制移動が可能です』


「頑張ったかいがあった……本当に、死ぬ思いだった!」


「おねえちゃん、どうしたの?」


「お母さんとお父さんが戻ってくるかも」


 端末を見て叫ぶ俺に、少女が不思議に思ったのか問いかけてくるので、手を少女の頭に乗せて撫でながら言うと。

 嬉しそうな顔で「お母さんとお父さんが帰ってくるの!?」と言って、俺に抱きついてきた。

 さてと同じ様に『はい』という所をタッチすると。


『蘇生プレイヤー検出……強制移動プレイヤー検出……完了……蘇生を開始……移行を開始』


 その瞬間、樹が光だして揺れる……その揺れから光の粒が出てきて、曲線を描いて地面に落ちると光が大きくなると同時に。

 そこには、プレイヤーが立っていた……。

 拠点か……確かに、ゲームであればどこかに復活ポイントが作っている筈だよな。


「お母さん、お父さん!」


「その声は……香苗?」


「香苗!」


 少女は、男性と女性を見つけると走っていった……香苗という名前だったんだな、聞いてなかった。

 なにわともあれ、この区画? のプレイヤーは移動と蘇生は完了したみたいだな……。

 さてと、と考え込んでいると……不意に後ろから凄い勢いで抱きつかれる。


「ハル~、生き返ったよ!」


「あはは……おかえり」


『件名:これで俺もイン出来るな

 もう一度転移の頼む、そっちに合流する。

 それにしても拠点ってこんな所にあるもんだな。

 このゲームの事全然知らないのに、よく生き残れたな』


 少し待った後に、再度転移を行うとセナが飛んできて「よっ! 大変だったみたいだな」とのんきに言ってきた。

 全くだ、何処かの誰かが戦力ならないから2人で頑張ったってのに……こいつが裁縫なのが悪い、後で現実で無理やり何か奢らせよう。

 蘇生の騒ぎで色んな人が混乱しているようだが……まとめないとダメか?


「御梅、やられた時の痛みってあるの?」


「ん? そういえば、無かった……というよりは、感じる前にやられちゃったかな」


「そう……」


 恐らく、痛みは無いんだと思う……何故なら、精神にも影響されるし、それこそ恐怖などでゲームどころではない。

 キルされる基準が分からない……HPの様なライフの表示は無いし、相手の攻撃をくらったら終わりって訳でも無いしな……。

 御梅はセナを「この役立たず~」と言うのに対し「そういう職業なんだからしょうがないだろ!」と反論していた。


 今はなんとかしないといけないのに、周りはグダっとしてたり、みんなのんきな物だ。


「ちょっと、みんな聞いて!」


 叫んでみるが、聞いてない……この団結力のなさ、惚れ惚れするぜ……ぶん殴りてぇ。

 そんな事をしていると香苗が「おねえちゃん!」と走ってきて、振り向くと両親が歩いてきた。

 両親に出会えてよかったな……その笑顔を見れるだけ頑張ったかいがあった。そんな俺に両親は一礼して言ってくる。


「この度は、香苗を助けてもらってありがとうございます」


「私からも、ありがとうございました」


「私は……当然の事をしただけですよ」


 ただ俺は、昔の俺みたいに泣いている自分と重なったから助けただけ……それに、どうであっても俺は助けたと思う。

 母親は「香苗が言ってました、泣いてる自分に優しく抱きしめてくれた事や、どんなに危険でも守っててくれた事を」と言っていた。

 多分、推察した言葉なんだろうけど……友人1人助けられない、愚か者だ。


「それよりも、君は何を言おうとしたんだい?」


「はい、実は……」


 父親はさっき俺が叫んでいたのを気になったのか聞いてくる……それを、かいつまんで状況を説明する。

 クエストの内容や、今の街の現状……そしてこれからしていかないといけないこと。

 俺の言葉に「なるほどな……」と腕組みをして頷きながら聞いている……聞き終えた後は。


「それは一大事だ、しかし……こうまとまりがないとな」


「そうなんです、私ではどうしたらいいか……」


「なら、こういうのはどうだろうか……」


 そう言って、俺に小さく言う……まさか、そんな恥ずかしい事を言えと!? いや、可能ではあるけれど……効果が無かったら、赤面ものだな。

 いや、具体な事は言われた訳では無いが……そんなに軽く焚き付ける事が出来るのか? そんな事でまとめられたら、へこむぞ。

 えぇい! しょうがない、ここは腹を括るしか無い。


「みんな、聞いて!」


 叫ぶと同時にみんなは「どうしたんだ?」と言った、視線を俺に向けてきた……うわぁ、流石に恥ずかしいぜ。

 だが、臆するなと言われてる以上、堂々と言わなければならない……中身は別として、女性に言わせるのはどうかと思うぞ。


「今、私達はヤバイ状況に立たされている! それは何故か! この街がクエストによって、安全では無いからだ!」


 すっげ~恥ずかしい……。


「そこであなた達に、協力してもらいたいの! この街を開放するために!」


 みんなに語りかけるように、視線を周りに向けて、恥ずかしさを出さない様に……力強さを見せるように言った。

 だけどみんなは「あんな奴らに勝てるのかよ」「無理よ、あんな化け物」「私、戦闘好きじゃないし」とか様々な声が聞こえてくる。

 なら、男だけでも立ち上がらせればいいんだ、男だから分かる……悔しい気持ちも分かる、だからこそ、勝てるんじゃないか? と思わせるんだ。


「勝てないだの何だので諦めるの? あなた達のやってたゲームはどうやったの? 勝てるまで頑張ったんじゃないの!」


 少し男達が悩む表情になっていった、さて最後の一言だ。


「あなた達はゲームに、負けてるのよ! それでいいのいつもの様に勝ってみろ!」


 男達は横にいる人を見る……すると、呼応する様に頷く……それは周りを伝染する様に増えていき。

 男達全員が立ち上がって「そうだな! これはただのゲームだ!」「言ってくれるじゃねぇか、でも嫌いじゃねぇ!」「元から簡単に勝てる相手なんてつまらないよな!」と叫んでいた。

 女性は、少し暑苦しそうに見ているがそれはこの後決めていく。


 今は男達を焚き付けただけでも、成果といえるだろう。

※緊急用の拠点を形成する時のみ、樹を使われるだけであり、通常拠点にはありません。


次は、12月21日までに更新します。

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