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利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
2章 このゲームに主人公は存在しない
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16話 地下は何時から安全だと思った

私は本当に、意地悪かもしれない、この展開にも……このゲームにも。

 3人で歩いて行く中、ふと思った事があった。


 ログアウトって出来るのか? 普通のゲームでは、可能だと思うし……公式のクエストなら可能だろう。

 心の中でログアウトと言うと『ログアウトは拠点や安全地帯で行ってください』という言葉が出てきた。

 おい、ゲームとしてどうなんだ……確かに、インした瞬間にモンスターの目の前に出た時はキツイからしょうがないと思うが、子供が1人なんだぞ。


「どうしたの~?」


「ログアウト出来ない……」


「え? 嘘!?」


 同じ結果になったようで「これどうするの!」と叫んでいた、ちょっと待てここで叫ぶと!

 気づいた時には遅かった、周りには同じとはいえ、スライムは3体……おいおい、子供を守りつつは無理だぞ!

 子供は怯えて「おねえちゃん、こわい……」俺の足に手を回してる……どうする、どうする?


「御梅、剣一本貸して」


「え? 無いの?」


「さっきの爆発に使ったの」


 御梅に言って、短剣の1本を借りる……さてここから、クソッ攻撃が来る!

 酸を飛ばしてくるのを、その前に女の子を抱え上げて、避ける……もう1匹は魔法? を構えてやがる。

 御梅は、暗殺を使ったのか1匹を攻撃してたが効果が無かったようで……レベル低い相手には効果が無いのか?


「……!」


 女の子を片手に抱えながらは、普通に考えて無理だ……しかし床に立たせてどうする? 女の子に向かわれたら、俺は庇えるか?

 飛ばされた水を避けて、次のもう1体の攻撃を見つつ避ける……普通こんなの無理だろ、なんで出来るんだ? さっきからおかしいと思っていたが。

 まぁいい、その身体能力を使って倒してやる……女の子に「少し派手に動くよ!」と言うと頷いてきた。


「すぅ~っ!」


 大きく息を吸ってから短剣を、片手に構え……行くぞ! 飛ばされた酸を避けつつ、もう1匹の行動を見て酸を飛ばしてきたスライムに近づいて、短剣で2度切る……しかし、後ろから酸を構えてるスライムがいるので避ける。

 その後、魔法を構えてるスライムの攻撃を避け、続けて2度切ると倒れた……息を付く暇もなくもう1匹が攻撃してくる。

 避けた後、先程同じく4度切る。


「ふぅ……流石に連戦は、キツイわ」


「そっちも終わったの~?」


「おねえちゃん、だいじょうぶ!?」


 武器を消して、頭を撫でてあげると安心した様だ……さてと、ここに長いするのも危ないさっさと、ここを出て街の外に出たい。

 女の子を降ろしつつ歩いて行く、ログアウト不可な上、敵の攻撃は苛烈かれつという酷い状況だ。

 しかも武器は限られている……そういえば、アイテムボックスを見てない。


「アイテムに何か無いか探してみる」


「こっちも探してみるよ~」


 アイテムは……一応あるか、ただ落ちる前に取った素材が大半……ん?

 武器が数本、落ちてたのか! ならこれで戦える。

 武器を装着して、片手を前に出すと……装飾もされてない刃が太いだけの大剣が出てきた。


「攻撃力はマシな筈」


「それ振り回せるの~?」


「多分……あ、ダメ重い」


 片手で回そうとしたら、腕が持って行かれそうになった、大剣といえば大剣だけど……これ無理だよ。

 とりあえず、先に進もう……先程から疑問符を浮かべてる女の子の手を引き、歩いて行く。

 少しの間、平和で何もモンスターが来ない時間だった……それを見てか、2つメールを送られてくる。


『件名:ここまで難しいゲームだったのか

 それにしても、お前すごいな!

 あんなの普通に動けるもんじゃねぇぞ?

 後なんか先生がお前に言いたいことがあるとか』


『件名:利用規約読んだぞ

 戦闘見てたが、リアルタイムバトルか


 それよりもだ、このゲームの利用規約にほとんど書かれるぞ?

 利用する上でとか、後お前の体がどうなったとかな』


「おねえちゃん、どうしたの?」


 メールを見て立ち止まった俺に話しかけてくるので「今メール見てたの、ごめんね」と言う。

 とりあえず、その内容はログアウトした後に聞こう……今聞いてもしょうがない話だ。

 という事で、返事は……後でと送っておく。


 さてとそろそろ出口に着いてもいいと思うんだけどな……何か音が後ろから聞こえてくる気がするんだけど……。


ダンッダンッ


 恐る恐る後ろを振り向いて見ると……うそだろ……? いやいやいや、本気で殺す気かよこのゲームの運営は!

 後ろに見えたのは、不気味に光る2個の赤い瞳が……そして、その足取りは確実にこちらに近づいて来ていた。


「待って本当に、待って……ただのクエストだよねこれ?」


「どうしたの? 後ろ……な、んか……見て……」


「逃げるよ!」


 そう叫んだ瞬間に、赤い瞳のゆっくりだった足音は……走るものに変わっていた。

 本気かよ……どんだけこのクエストをクリアさせる気ないんだよ!

 そう思いつつ全力で走っていく、さっきまで合わなかったのは何でだ? もしかして、少ない時間とはいえ……登ってた時に1回通り過ぎたのか?


「捕まって!」


「うん!」


「ちょっと、こんなの聞いてない~! 確かにさっき登ってた時に、音してたけど!」


 走る……走る、女の子を抱え込んでるから疲れる……クソッ何なんだよこの街? いや、クエストか? そんなのどうでもいい……逃げないと!

 走っているとスライムが現れる、なんでこんな時に! 後ろには黒い甲殻をまとった3本角の虫か? よく見えていないから判断も出来ないが!

 酸を避けながら走る! あ、御梅が……足を滑らした! クソッこの距離じゃ届かないし間に合わない!


「くっ!」


「ハル!」


 見捨てるしか無いのか……「おねえちゃん! あの子が!」と言ってくるけど、構わっていたらこっちもやられちまう!

 メールが飛んでくるが、確認も出来やしない……先に見えるのは、鉄格子があり……ドア部分だけ空いていた。

 はぁ……はぁ……息がヤバイな、あそこに取り敢えずいかないと!


「はぁ!」


 決死の思いで走り抜けると、鉄格子の前で敵が激突げきとつするが、壊れないのか……ここから先は来なかった。

 女の子を降ろして、両手を膝に置いて息を整えていく……女の子は少し泣きそうだ。


『件名:沙月がキルされた

 意識は戻ってきてないよ、画面も真っ暗のまま

 このゲームおかしいよ、何が交流目的なのよ!

 沙月が!』


 ニナだろうか、叫ぶようにメールを送ってきた。

 助けられる訳がない……この先、クリア出来る保証も無くなってきた。


 ただ……こんなゲームを、クエストを早く終わらせないと、な……そう思って、少し泣きそうな女の子の手を引いた。

次は、12月19日までに更新します。

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