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利用規約を見ないでゲームを始めたらTSしたんだが  作者: 秋雨そのは
2章 このゲームに主人公は存在しない
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15話 子供は1人にさせるべきではない

危機的状況過ぎる……平和な時はまだ先のようだ。

 蓋の様な物を持ち上げて、少しずらした後……周りを見渡していた。


 ここは……見たことの無い場所だな、プレイヤーの生き残りでもいれば戦闘も楽になるんだけどな。

 未だに燃え盛っている街並みを、目を凝らして見渡すと……建物の中ですすり泣く声が聞こえてくる。

 何処だ……? 生きているなら、助けるべきだがこちらも危ないため、下手に感情的に動くのは良くない。


「場所あってたの~?」


「いや……御梅、先に少し降りててくれない?」


「いいけど~、何するの?」


 昔の日本の建物は障害物が少ないため、隠れるのは難しいが……戦闘になれば確実に負ける。

 だが、どうしても……泣き声が耳から離れない、子供の頃に迷子になって両親が見つけてくれるまで泣いてた、あの記憶と被ってしまう。

 体を持ち上げ「少し行ってくる……戻らなかったら、先に次の街に行く道を見つけて迷わず行って」と言って、飛び出していく後ろから何か聞こえてくるけど……迷いは捨てる。


 走る……モンスターの姿を見たら、近くの建物に体を隠す。だけど、デカイ障害物も無く……家の様な建物は四角ばかりで全然体が隠れていない。

 はぁ……はぁ……なんでこんな事をやってるんだろうな、ゲームだし見捨ててもクエストが終われば復活するというのに。

 骨のモンスターが何かを感じた様に音が近くなっていく、それを静かに動いて見つからないように動く。


――お母さん……お父さん……何処行ったの?


「……そこか、確かに建物の中だと安心は出来るかもしれないが」


 声が聞こえたのは、ちょうど自分が背中を合わせている建物の中……入り口が何処だか分からないため、入れないし下手に動けない。

 長い髪が邪魔と感じてしまう程だが、この見た目に設定したのは俺だ……姿も色々髪などが揺れてしまい、気づかれる可能性が高い。

 モンスターの反応が、音なのか視覚などの五感なのかも不明な為、長いするのも不味い。


――ふぇぇ~!


 体を少し出して、入り口を探すとすぐそこにあった……迷わず、扉を開けて声の主がいるであろう建物の中に入る。

 そこには、不安で押しつぶされそうになって泣いている女の子がいた。

 建物の中は暗く、外は訳も分からない生物が徘徊はいかいして、人の断末魔が聞こえるんだ怖く無いわけがない。


「もう大丈夫だから」


 女の子を抱きしめる、孤独で怖くて寂しい時には人の温もりというものは、安心するんだ。

 そのまま頭を撫でると不安が少しは和らいだように、少し嗚呼を聞こえてきた。

 可愛らしい様な、ヒラヒラの服は転んだりしたのか汚れてしまっていた。


「おねえちゃん、誰~?」


「私、私はね……白馬の王子様だったり、なんてね」


「女の子なのに、王子様なの?」


 少しの間そうしていると、女の子が顔を上げて言ってくる……その顔は涙を流していたためか、悲しい顔をして目も赤く、寂しかったのが分かる。

 女の子に「お母さんやお父さんは?」と聞くと「変な生き物に、切られて……うぅ……」そう言いながら泣きそうになっていた、それを安心させるように頭を撫でる。

 さてどうするか、ここにいるのは不味い……あの虫の様な奴らが来たら、勝てないしな。


 ふと、思った……俺の職業は何だ? ボマーだ、いっその事どこかを爆破した方が、そこに注目を集められるんじゃないか?


 剣を取り出し「爆弾化」と言った……その瞬間、剣は黒く塗りつぶされて形は保ちつつも、不気味な剣へと変貌した。

 爆弾化:装備してる武器を爆弾へ変える、武器攻撃力は爆弾攻撃力に変換され……攻撃力が低い程、範囲が広くなる。

 どうせこのままなくらいだったら、派手に起こしてやるか……見つかる事を承知で、扉を開けて剣を縦に投げる。


「爆発」


 爆発:特定スキルを使用した際に付与される物を、爆発させる。

 空中に舞っている剣は放物線を描いて、他の建物の上を通過して見えなくなった後……爆発させる。

 爆発の範囲は想像以上で、ドカーンッ! という音と共に、建物2つ分の範囲を爆風を巻き起こしていた。


「逃げるよ」


「……う、うん」


 ぞろぞろとモンスターが集まってくる気配がする……そして、まばらのタイミングを測って、女の子の体を持ち上げて走る。

 モンスターに見つかるが、斬りかかってくるのを体を捻って避ける……普通ならそんな事出来る訳ないのに、体が動く……このままなら行ける。

 その瞬間、大きな影が上から飛んでくる……『ニンゲン、ミツケタゾ!』そう言って、高速でこっちに飛んでくる。


「くっ!」


 そう言いつつ、飛んでくる巨体をなんとか避ける……あの地下への入り口は、あったあそこだ!

 そのまま、女の子を抱えたまま……キツキツの入り口に入っていく。

 そうして、降りると……御梅が入り口の近くで体育座りして待っていた。


「も、戻ってきた~!」


「ちょ、ちょっと! 先に言ってていいと言ったのに」


「出来る訳ない! 助からないと思った、馬鹿でかい爆発音は聞こえるし」


 御梅は俺の姿を見つけた瞬間、走ってきて抱きついてきた……そっか、俺の勝手な行動のせいで心配かけちゃったな。

 少し泣きそうなそんな顔をしているから、本当に心配してくれたんだなと思う。

 女の子を抱えたままだったので、降ろしてあげると……俺の事をキラキラした目で見ていた。


「おねえちゃん凄い! あんなこわい化け物あいてに、スパッて動いてシュッとよけてた!」


「ありがとう」


 先程までの暗い表情は何処へ行ったのか、憧れの様な顔を向けられていた……表現が曖昧あいまいな所は子供だからな。

 ここじゃないと言うことは、もう少し奥か……それにしても、投げた時にあんなに力があったかというくらい上に飛んでいたな。

 まぁそのせいで武器も無くなちゃったし、どうしたものか……。


 そう思いつつ、奥へ3人で歩いて行く。

次は、12月14日までに更新します。

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