焼けるようなオレンジ色の空
こんにちわ! クロです。
いきなりですが、どうぞ。
第66話、焼ける様なオレンジ色の空
「そう……だったんだ。お兄ちゃんも苦しかったんだね」
ほむらは俯きながら胸に手を置いて、一瞬悲しそうにも見えたけども、それとは別に少し顔を赤らめている。
何を考えているのかは分からないが、きっと苦しんだのは自分だけじゃないと、改めて感じれたんだろうと思う。
「そうだね。でも、これは色々あった中の一つの序章だよ。これから僕達は、きっと沢山の経験を積むんだから」
「えへへ、なんかかっこいいねお兄ちゃん」
そして、小さな声で呟いて「うんっ!」と決意を表した様な言葉を発し、僕の方を向いた。
「お兄ちゃん、わたし決めたんだ」
ただでさえ、二人分のスペースしかないボートなのに、ほむらは近くに寄ってきて顔を覗き込んできた。
「何を決めたの?」
「私、お兄ちゃんみたいに上手くは出来ないかもしれないけど……絶対に友達を作る!」
正直、自分では上手く出来ているのかは分からないけど、ほむらが友達を作ると宣言してくれたのは、本当に嬉しかった。
でも、僕みたいな友達の作り方はして欲しくない。
少しでも間違えたら、取り返しのつかない事になってしまう気がしたから。
だから僕は、ほむらにこの事を伝えないといけない気がした。
「僕みたいに友達は作らなくても良いんだよ? ほむらにはきっと、優しくて気の合う友達が出来ると思う。だから、自分が良いと思う道に進んで?」
自分でこの言葉をクサいと思いつつも、上手くほむらに伝わってくれれば良い。
ただそれだけで、この言葉が出てきた事には驚いたけども、自分で恥ずかしくなってしまう。
「何赤くなってるの? お兄ちゃん。少しだけクサい台詞だったけど、霧島凪っていう人が歩いてきた道っていうの? それを聞いたらカッコ良いと思うよ」
それも少しだけクサかったけど、僕に絡み付いてる恥ずかしさが、徐々に解けていく感覚がして安心してしまう。
でも考えてみると、妹に安心させられている兄は一体どうなるんだろう。
そんなことに頭を迷わせているうちに、ほむらは自分が乗っているボートの定位置に座って、前を見ていた。
「ありがとう、ほむら。じゃあそろそろ帰ろうか」
「うん! そうしよ、お兄ちゃん」
陽が落ちようとする夕焼け空は、水面と反射して、二つの陽が目に映る。
焼けるようなオレンジ色の空に、風の息吹で安らかにさざめく葉の音色が、僕達の気持ちを落ち着かせていた。
そして、同じ季節にまた来ようと約束をして……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。お疲れ様です!
ここ最近、ようやくスランプと言ってしまって良いのかとは思いますが、徐々に直ってきていますので、投稿ペースを守れると思います。
当たり前の事かもしれませんが、何卒これからも、この作品を宜しくお願い申し上げます。
それでは、また次回もお会いしましょう!




