幸せへの願い
こんにちわ! クロです。
それではどうぞ。
第64話、幸せへの願い
公園。
「そういやお前は、俺の家に来たことは無かったな?」
「あ、確かに言われてみればそうだったかも」
和希が所属する不良グループ……。
というか、僕からして見れば『家族』というテーマのグループのメンバー全員が、和希の家に上がったことがあるらしい。
だが、僕は最終的にグループのメンバーにはならずにほむらを選んだので、あまり倉庫には近づかなくなった。
だからかいつも、姉貴が和希の家でグループの話し合いとかをするって言ってたけど、呼ばれたことが無い。
「そうだね、和希の家に行ったことは無いや」
「じゃあ、また今度来いよ? あのグループとは関係無しに、俺たちと遊ぼうぜ」
「そうさせてもらうよ。だけど、ほむらは連れてかないからな?」
「分かってるって! じゃあな」
そう言って、和希達一同はその場を去って行った……。
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「凄い人達だったね……お兄ちゃん」
確かに、和希や姉貴のグループの仲間達は、あくまで不良を貫いているところもあって、威圧感が凄い。
ほむらも一度だけ和希の威圧を受けた筈なのに、怖がったのは一瞬だった。
それを考えたら、和希はすぐに優しい微笑みに変えて、ほむらの警戒を解いたんだよな。
「あぁ、いつ見ても凄いと思うよ」
そう言いながら、僕が先に近くのベンチに腰を下ろし、妹が座るであろう場所を手で払った。
その方が、ほむらも気軽に座れるだろう。
何をしているのかと聞かれた時のために、しっかりと理由を思い浮かべたのだが。
「ありがと! お兄ちゃん」
にこやかに頬を緩めながら、僕の隣に腰を下ろす妹を見ていたら、どうしてか。
頭の中は真っ白になり、何故だかこっちまで頬が緩んでしまう。
「うん! どういたしまして」
この時、一つ感じたことがあった。
それは、ほむらと初めて一緒に外に出てきて、眩しいぐらいの太陽が公園の様々な緑を照らしていくなか。
青々光り輝いている広大な湖に、数艘の小型ボートがポツリと佇んでいる。
その周りには、まだとても小さな魚達が自分たちよりも何倍も広くて、大きな湖を自由にゆっくりと泳いでいった。
この先、僕たちのまだまだ長い人生とやらをきっと、この魚達のようにゆっくりと進み出して行くのだろう。
いつか、僕やほむらにも良い幸せが舞い込んで来ますように……。
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それでは、また次回でお会いしましょう。
次回も、よろしくお願い致します。




