家族②
こんにちは! クロです。
先週の土日に投稿出来なくて、申し訳ありませんでした。
いきなりですが、どうぞ。
第63話、家族②
倉庫内。
「そういや、お前と和希って小一だったか?」
「そうだよ。姉貴は……もうすぐ中学だっけ?」
そう、僕達と姉貴は結構歳が離れている。
なのに僕が敬語で話さない理由としては、前に姉貴に止めろと言われ、今に至る。
なんだかくすぐったいらしく、そのもう一つの理由は、姉貴を慕うものは皆んな家族だと思ってるらしい。
だからここにいる全員は、慕ってはいるが敬語を使わず、ありのままでいるという。
「あぁ、そういやそうだったけな。早いものだなぁ……」
それと。
「ま、和希には一番世話になってるから、私が中学に行ってもここには来るよ」
前に、学校の噂で聞いたことがあった。
それは、和希は不良グループと呼ばれている姉貴達と関わっていること。
それに加えて……。
和希が、そのリーダーと一緒に生活をしているということ。
この噂はあくまで噂で、何も確信が無かったから、本人達には聞かないようにしてきた。
だけど、和希には一番世話になっているという姉貴の言葉を聞き、それが確信へと変わる。
変わってしまえば最後、もう自分の好奇心と不安を取り除きたい一心で、つい言葉にしてしまった。
「それってさ、和希と一緒に暮らしているということ?」
その時の姉貴の顔は、しまったという表情をしていた。
少し眉を寄せ、目を細めながら、誰から聞いたとでも言いたいような睨みを利かせている。
そういや姉貴は少し癖っ毛なのか、ふわっとしている髪を、無造作に真っ直ぐにしようと降ろしていたし。
相当、機嫌が良くないことを滲ませていた。
姉貴の機嫌は、何故か大体が髪型で分かってしまう。
髪がゆるふわのままなら機嫌は良し、無造作に下ろそうとしている時は、機嫌が悪い。
それに気付いたのは、つい最近なのだが。
「あぁ、そうだよ。お前には話しといても良いか」
「私は、両親を亡くしていてな? 行く当てもなくここに居座っていた時に、和希から声をかけて貰ったんだ」
「なんて?」
「行く当てが無いなら、俺ん家に来いよ。断わんなくて良いからな? お前臭いし」
「とな? でも泥まみれになっていて、いつ死んでもおかしく無い私を救ってくれたんだ」
胸に手を当てて過去を話していく姉貴には、両親と早いうちに決別した悲しさや悔しさが、全くもって感じて来なかった。
きっと姉貴は、過去を乗り越え、今を手にしてるのだろう。
それは和希のおかげでもあることを感じさせ、和希ならそう言いそうと、少し笑ってしまう。
「何笑ってるんだよ。でも、いま考えてみたらそうだな……。ちょっとあいつ締めてくるか」
そういう物言いには、まるで合ってない満面笑顔で、和希をとても信頼してると言っているような気がした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます! お疲れ様です。
前回から、和希と凪……そして姉貴との出会いになっておりますが、この作品は大切な人達への愛をコンセプトに書いておりますので、どうかこれからも宜しくお願い致します。




