凪の誓い
こんにちは! クロです。
いきなりですが、どうぞ!
第55話、凪の誓い
霧島宅、ほむらの部屋。
兄妹が、カチカチやカチャカチャという効果音を鳴り響かせ、奏でていた。
ゲームに誘われた兄は、とても嬉しそうに目の前の少女と遊ぶ。
「ねー、お兄ちゃん。どうして私に構ってくれるの?」
今まで無言で格闘ゲームをしていた兄妹は遂に、妹の方から話かけてきた。
「んー? 構うというより、僕がほむらのお兄ちゃんだと認めて欲しくて」
「なにそれ」
質問をした妹が、その答えを得た時に寂しそうに微笑んだ表情を放っておけず、僕はほむらに感じた心情をすべて話すことにした。
「少し前までのほむらは、自分の殻を作ってたように感じて、それはきっと僕と親たちのせいなのかなって」
「お兄ちゃん……」
ほむらは戦意喪失したのだろうか、コントローラーを置いて、黙って聞いている。
その間の妹の分身と呼べるキャラクターは、ほむらと呼応するかの様に、ただ呆然と立ち尽くして黙っていた。
「親たちは家に帰ってこない。僕も最近は部屋に閉じこもっていたし、その間にほむらは一人ぼっちだったよね」
まだ話を続ける。
「それに、実は聞こえていたんだ。ほむらが夜な夜な寂しそうに悲しい声で泣いていたこと」
「……、聞かないでよ!!」
恥ずかしそうに口をパクパクさせて、思っ切り怒号の様な大きい声を放っている。
でもそれに負けない様に、僕も話を続けようとした瞬間。
ほむらの腕が喉に絡まり、小さな身体の体重を全て預けられて、床に押し倒された。
「何で、何でよ!! ただ哀れんだから構ってきたの!? そのままほっとけば良いじゃない」
自分に構ってきた理由が、憐れみだと直感してしまったのであろう。
妹が悲しみや苦しみ、寂しさや焦燥を複雑に混ぜ合わせた結果起きる叫びが、僕の心を犯していく。
それに、マイナスの感情を与え続けた張本人が何も出来るはずも無く、ただ呆然と聞くことしか許されない。
そんな状況が気持ち悪くて、だけども逃れられない痛みを、僕は……。
ほむらと一緒に、これからもずっと一緒に抱え続けるしかないと心に誓った。
「うるさい! 哀れんで構ってるわけないだろう! さっきも言ったよな? 世界でたった一人の妹だって。ならその心を痛み付けてる気持ちを一緒に抱え込ませろ」
「何言ってるのよ……! お兄ちゃんは本当にバカ」
きっとほむらは、心から言葉を振り絞ったんだろう。
ぽつぽつと僕の顔に零れ落ちてきた雫は、誰にも汚されていない、透明の硝子の様に砕け散った……。
「そうだね、自分でもそう思うよ。でもまだ僕は全然生きてないけど、ほむらの事を一番愛してるからさ」
そんな事を言ってしまったが、心からの本心で、ずっと忘れない。
そう誓う。
家族として。
その誓いを立てようと僕は、ほむらの頬に手を置き、涙を拭った……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます! お疲れ様です。
今回は、勘違いをしてしまった妹に対して、まだ小学1年の凪が愛してるって言葉を使った時に、愛してるって言葉を書いてて良いのだろうか?
そんな疑問に包まれましたが、まあ〜家族なら良いかなという感じで落ち着いたんですが、皆さんはどうでしょうか?
でも、もどかしいですね。
では、また次回でお会いしましょう!
宜しくお願い致します




