プレゼントの秘密
こんにちは! クロです。
いきなりですが、どうぞ!
第四十八話、プレゼントの秘密
霧島宅、居間。
「僕が、最後にあの子と会った……?」
「そうだよ、お兄ちゃん。」
到底、その言葉が信じられなかった。
何故なら、僕が記憶を無くしたのは、あの子が何かに轢かれてからだと思ったからだ。
時々思い出すのは、あの子が怪我を負ってしまうとき。
でも目の前に、椅子の上に小さく体育座りをしてから、体勢を変えていない妹は、ちょこんと首を縦に振っている。
「……でも、僕にはその記憶が」
そう、まだ事件の後の記憶は戻っていない。
でも、それでもほむらは、自分の言葉に訂正を加えない。
「分かってるよ。お兄ちゃんが、まだあの人と病院で話した記憶が無いことは」
「その記憶は、いつ見れるのかな……」
不思議な発言をした。
自分でも分かるぐらいに、ほむらには分かるはずが無いのに、どうしても気になってしまう。
その記憶を見れば、何故僕が記憶を無くしたのか。
何故ほむらが、あの子のシュシュとヘアピンを持っていたのか。
だが、ほむらから明かされる事は、その記憶を蘇らすことは容易かった。
「ねぇ〜、お兄ちゃん。このシュシュとヘアピンはね……。お兄ちゃんの後に、私もあの人と話して、その時に渡されたの」
僕が話しをしたなら、ほむらとも話をするのは当然だけど、シュシュとヘアピンを渡すのは疑問に思う。
妹は、自分の言葉に間を空けて、所々詰まりながら話してくれている。
無理もない。
小さく体育座りをしながらも、更に体を締めて、胸の前に手を置き、俯いていた。
僕の為に……。
自分の為にも話しているように感じた。
「お兄ちゃんは、あの人と話した後に、私の元に戻ってきてくれた時には、もう自分を責め続けていたんだよ? そして……」
そして……。
「あの人に、なんでお兄ちゃんが変になってしまったのか聞いたら、急に頭を抱えだして、治った時には、記憶を無くしていたって……」
「その時に、もし凪が私の事を思い出そうとしていたら、これを渡して話してあげてって」
そんなことは、ありえるのか?
よくドラマやアニメとかで見る、記憶喪失になった時に頭を抱えたり、倒れたりする典型みたいなことが……。
ズキィーン!!
ふとした時には、さっきとは全然違う強い痛みが襲ってきた。
意識を失う直前に、目の前の女の子が、慌てて僕の元に駆け出してくるのが分かった……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
お疲れ様です。
今回は、凪に渡されたプレゼントの秘密と、ほむらと凪の過去を書きました。
では、また次回でお会いしましょう。
次回も、よろしくお願いします!




