記憶の相違点
こんにちは! クロです。
いきなりですが、それではどうぞ!
第四十七話、記憶の相違点
ズキン!!
頭が割れるような痛みに襲われた時、とある映像が頭の中に映される。
?「ね〜。霧島くん! ほむらちゃん! トランプしよ」
そこは、いつも見慣れている場所……。
僕の部屋でくつろいでいる女の子が二人居た。
一人は、妹であるほむら。
もう一人は……、姿は、ぼやけているけれど、空色のヘヤピンを左側のハチまわりに付けていて。
空色ツイードのシュシュで、ポニーテールを作っていた。
この二つは、さっき僕がほむらから貰ったプレゼント。
これは、元々あの子の物で、それがほむらに渡っていたのだろう。
そして、三人はトランプで遊んでいる。
?「あ……。また負けちゃった! 二人とも兄妹揃って強いね」
ほむら「そうですかね? でも結局お兄ちゃんには、勝てなくて」
凪「そんなことないよ。二人とも強くて、いつ負けるか分からないから」
そう言いながらも、ババ抜きは昔から得意だったらしく、まだ余裕で勝てていた。
これは、運に左右されるゲームなのだけど、ほむらやあの子は、ババが自分の元に来た時に表情に出てしまっていた。
だから、きっと勝てていたんだろうな。
でも、正直寂しくなってきた。
もう、この子には会えなくなるのだと思ってしまって、心が打ち負けそうになる。
?「ふふ! 次は勝つよ〜。じゃ、そろそろ帰らないと」
だってこの日は確か……。
凪「送ってくよ。行こ!」
ほむら「じゃ、私も行くね」
だってこの日は……。
凪「危ない!!」
もう、会えなくなる日なのだから……。
ーーーーーーーーーーーーーー
「はっ!!……。あれ、ほむら?」
「お兄ちゃん……。大丈夫? 苦しくない?」
僕は、ほむらに膝枕をして貰っていて、しかもほむらからは、涙がこぼれ落ちていた。
椅子に座ったまま記憶を見ていたのだと思っていたけど、違うみたいで、頭が混乱してくる。
いつもまるで、記憶を思い出していくほど、現実から遠のいてるような感じが怖くなってきた。
でも仕方ないことだと思い、今の状況を聞く。
「うん、大丈夫だよ。でもなんで膝枕?」
「私がプレゼントを渡したら、いきなり椅子から倒れ落ちて……。お兄ちゃんが、どんな記憶を思い出してるのかと思ったら、心配で」
でも、一つだけおかしな点があった。
記憶についてだ。
「ねー、ほむら。このヘヤピンとシュシュは、あの子がしていた物だよね?」
「うん。そうだよ」
案の定な答えが返ってきたけど、これじゃない。
「それで、トランプをしていた日のことなんだけど……。あの日に事故があったの?」
「うん……。そうだよ」
正直、すごく驚いた。
前見た記憶は、とてもじゃないが家で楽しくトランプをやった帰りとは思えない。
ほむらは、そのことについて覚えていそうな感じがしたから問い詰める。
「なら、前見た記憶は、とてもじゃないけど、家で楽しくトランプをやった帰りとは、思えなかったんだけど」
諦めが悪い。
自分でも呆れてしまうぐらい、諦めが悪かった。
前に見た記憶や今の記憶……。
それらが、全て外れていることを願っていたのに、無残な形が残ってしまう。
「あの日、トランプをした帰りにね。近くの公園に寄ろうとしてたの……。それで……」
なら、あの記憶全てが一つに繋がっていて、全て同じ結果に向かっていた。
今は、誰か分からないその子の事なのに、大切な物全てを無くしたような喪失感や絶望感が襲ってくる。
それは、幾ら記憶を取り戻しても、全て同じ結果に収束していき、最後には……。
「諦めちゃ駄目! お兄ちゃん!!」
その時、僕の上半身に柔らかい何かが当たる。
「私は、信じてるんだよ! あの子は無事で、居なくなってない結果に!」
「どういう……、こと?」
だって、あの子は何かに轢かれて……。
「だって、最後にあの子に会ったのは……、お兄ちゃんなんだよ!?」
最後にあの子に会ったのは、僕?
とても信じられないほむらの言動に、僕には、何が何だか分からなくなってきた……。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
お疲れ様です。
あと少し、このお話が続きますが、どうかよろしくお願い致します。
では、次もまたお会いしましょう。
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