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記憶の鍵

こんにちは! クロです。


突然の事ですが、投稿日を1日ずらさせてもらう事になりました。


それでは、どうぞ。

第四十六話、記憶の鍵

「なんで……、何でこれを出してきたの?」


 僕には、意味が分からなかった。


 今までを振り返ってみると、あの子に関する記憶のキッカケには、必ずと言って良いほど頭が割れる様な頭痛が襲ってきた。


 でも、さっきまで遊んでいたこのトランプからは、何もキッカケを掴めない。


 だけど、それを差し出してきた本人から、僕の見落とし箇所を指摘されるとは……。


「お兄ちゃん。やっぱり頭痛は起こらないんだね」


「どういうこと? ほむら」


 何か意味深な言い方をした妹は、そのまま話を進めていく。


「これはいつものお兄ちゃんを見てのことなんだけどね……」


「うん……」


 一呼吸おいて冷静になる様に勤めていたほむらから、予想もしていなかった事を伝えられる。


「このトランプは、前にあの人が忘れ物として置いていった物なんだよ? でも、お兄ちゃんは覚えてないよね?」


「うん」


 そう……。


 霧島凪という人物は、物覚えは良いものの、それをずっとは覚えていられない。


 当たり前と言ってしまえば、当たり前なのだが……。


 特に、あの子の事は何かキッカケというものが無いと思い出せない。


 でもそれは……。


「お兄ちゃんがあの人の事を思い出すのに何かキッカケが必要だとして、このトランプで思い出せないならキッカケにもならない物という事だよね」


 つまり……。


「つまり、お兄ちゃんのあの人に関する記憶が無くなる前までに覚えていた物が、思い出す鍵なんじゃ無いかな?」


 そして、もう一つ。


「それとね、一つの物で思い出す記憶は一つだけなんだよ。だからさっき見たこの写真では、もう何も思い出せないと思う」


 それは、こう言い換える事も出来る。


 何か一つの物だけで思いつめるのではなく、今過ごしているこの日常を大切に過ごしていく事が、記憶の鍵なんだと。


「でもこれはお兄ちゃんの事だから、確証は無いんだけどね。少しでも役に立ちたかっただけだから……」


「あと、あまり思い詰めないでね。お兄ちゃんが傷付いて行くのを見たく無いんだから……」


 僕が探し求める答えに近づけるヒントをくれた妹は、かえでと遊んでた頃とは比べものにならないほど落ち込んでいる。


 そんなほむらの事を、僕も見たくないので、話を変えようとしたが。


「うん、分かったよ。ありがとうね! ほむら」


「……あとね、お兄ちゃん。少し辛いかもしれないけど、これ、私とあの人からの記憶のプレゼント」


 ほむらが今にも泣きそうな表情で渡してくれたプレゼントは、妹の物では無いと分かってしまうぐらいの、鮮やかな空色のヘアピンが一つと空色ツイードのシュシュが一つ。


 それに、あの子からのプレゼントからでもある?


 ふと疑問に思ってしまった瞬間、激しい頭痛に襲われてしまうのだった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


お疲れ様です!


今回は、凪の記憶が明かされる秘密の最初の一部が明かされました。


一つ目は、あの子の記憶が無くなる前に覚えていた事。(無くなる前でも、覚えていないことは思い出せない)


二つ目は、一度思い出したキッカケのものでは、もう何も思い出せない。(ただし、思い出した記憶は無効)


これから明かされていく記憶が全て揃った後、どんな未来が待ち受けているのだろうか……。


これからも、よろしくお願い致します。

それでは、また次回でお会いしましょう!

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