表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/69

無意識の願い

こんにちは! クロです。


それでは、どうぞ!


第四三話、無意識の願い

 霧島宅、凪の部屋。


「……。準備は、良いかい? ほむらちゃん」


「ええ……。大丈夫です! いつでも来てください」


「……。なにこの緊張感。これ遊びだよね?」


 僕達は、トランプで遊んでいる。


 トランプというのは、カードゲームの一種で、基本的にババ抜きや・七並べ・大富豪といったものが一般的なんだが。


 今は、その中のババ抜きをしていた。


 だけどもこの空気感は、遊びと言ってしまえば、二人の闘いに水を差す事になってしまうので、黙る。


 でも、一言も喋らない様にしてたんだけど、その一言を出してしまった。


 それを最後に、さっきまでの緊張感とは、全然違う感じが、僕の部屋に漂う。


「あーもう!! お兄ちゃん! 何で喋るの」


「ほんとだよ! 何で喋るの? なぎ」


 実を言うと僕は、この二人より早く上がっていた。


 つまり、一位だ。


 それなのに、この緊張感を壊してしまった事には、罪悪感が芽生えてきたから謝る。


「ごめんね。二人が、鬼の形相で睨み合ってたから、ここに居づらくて……」


 すると、直ぐに言葉が返ってきた。


「大丈夫だよ。なぎ! 私もなぎが居ること忘れてたから」


「うん。平気だよ! お兄ちゃん。私も忘れてた」


 多分この二人は、僕のことを励ましてくれたのだろう。


 でも言葉的には、ここから去って! という風にも聞こえる。


 心から不意に湧いてくる気持ちは……


 ここ、僕の部屋なのになぁ〜。


 という、何とも言えないものだった。


「ありがと! 励まして……くれたんだよね? まあ〜、ジュース取ってくるよ。何が良い?」


 そう言って部屋から出ようとした時、後ろから声が掛かる。


「そうだよ。お兄ちゃん! じゃ〜、オレンジジュースが良い」


 ほむらは、可愛らしい笑顔で、オレンジジュースを所望してきた。


 妹は、やっぱり笑顔が一番似合うな……と思いながら、かえでにも聞く。


「かえでは、何が良い?」


「うーん。私もオレンジジュースで!!」


「分かったよ。じゃ、行ってくる」


 かえでも同意見だった。


 二人は、僕が考えたよりもずっとお互いの仲が良くて、きっと友達になれたのだろう。


「「行ってらっしゃーい」」


 その言葉を最後に、部屋から出た。


ーーーーーーーーーーーーーー


 霧島宅、居間。


 僕は、少し考え事をしていた。


 かえでが寝てから、ほむらと話し合う、あの子のこと。


 正直に言うと、何でここまで引きずっているのかも分からないし、ましてや、あの子に関する記憶があまり無い。


 なのに何で……! ッ!?


 そう、この通り無理やり思い出そうとしたり 、詮索すると頭が痛くなる。


 もう一つの原因としては、さっきみたいに、写真を見ただけでも気絶してしまう。


 それは、僕自身が無意識に、このことを忘れたいと願っている様にも感じた。


「はぁ〜。ほむらの言った通りなのかな」


 ほむらの言った通り、これからも苦しんでいく事になるのかな……。


『私がついているよ。お兄ちゃん……』


 そう呟きながら、優しく抱きしめられた感じがしたけど。


 ここに居る筈も、抱きしめられる筈もないが。


「そうだね。ありがと……! ほむら。」


 それに加えて。


「どうかしちゃったのかな……僕は」


 そう呟きながら、ほむらが大切な妹だということを自覚出来た気がした。


 よし、そろそろ戻ろうかな……心配させちゃ悪いし。


 二人の所望した飲み物と自分の分を、お盆に置いて、それを持ちながら、足を自分の部屋へと進ませたのだった……。


 兄と妹の過去についての話。


 二人の決定事項まで、あと少し……。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

お疲れ様です。


もし宜しければ、ブックマークや評価なども是非!


それでは、また次回でお会いしましょう。

次回も、お願い致します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ